[GMCD] CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019

PS用のRPGとしてリリースされた「クロノ・クロス」が昨年20周年を迎え、その楽曲を演奏するライブツアーが2019年から2020年初頭にかけて開催されました。
そのうち、今年1月に中野サンプラザで開催されたツアーファイナル公演の模様を収録した音源が、今月7月1日から各種音楽配信サイトで一斉にリリースされました。
待ちに待っていた音源化だけに、早速アルバム一括購入して一通り聴いてみました。
収録曲数は、全34曲(アンコール含む)。
再生時間は、トータルで2時間20分強になります。

なお、アルバムの正式タイトルは「CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda & Millennial Fair Live Audio at NAKANO SUNPLAZA 2020」となります。とんでもなく長い名前が付けられています。
配信サイトは、公式サイトに掲載されていますので、そちらをご覧ください。
通常版もハイレゾ版も価格は同じなので、特段の事情がなければハイレゾ版の方が良いかもしれません。
ちなみに、自分はAmazonで通常版を購入しました。
ハイレゾ版配信サイトのアカウントをどれも持っていなくて、あまりあちこちにアカウント作りたくなかった、という理由で、Amazonで妥協しました。

本作を聴くにあたり、まず真っ先に驚いたのは、半端ないボリューム感とコスパの良さです。
34曲2時間20分収録というCD換算でおよそ2枚分に及ぶ大ボリュームにも関わらず、価格は1,800円。
率直に言って、コスパが良過ぎます。太っ腹にもほどがあります。
採算とか、大丈夫なのでしょうか。というか、完全に採算度外視してますよね、これ。
いや、聴き手であり買い手である身としては、耳にも懐にも優しくてめちゃくちゃ嬉しいですけれど。
音源化が発表されたとき、音源化自体にも嬉しい驚きを感じましたが、この価格設定も嬉しい驚きでした。二度見しましたよ、マジで。

もっとも、採算度外視な価格設定なのは、本来音源化を予定していなかったからだとも思っています。
ライブツアーで元は取れていたけれど、音源化要望の声があまりに大きかったこと。
新型コロナで混乱する社会情勢を受けて、プロキオン・スタジオとして何かできることはないかと考えたこと。
それが掛け合わされた結果、今回の破格の音源化として形を成したのだと推察します。
それにしたって、なんかもう、男前過ぎませんかプロキオン・スタジオさん。惚れてまうやろ。

昨年の東京・豊洲PIT公演に参加した時から音源化か円盤化を望んでいただけに、今回の音源化はものすごく嬉しいです。めちゃくちゃ嬉しいです。
ライブツアー中も最終公演後も「音源化も円盤化もしない!」という公式の強い姿勢をなんとなく肌で感じていて、「音源化・円盤化希望!」と都度言いつつも半ば諦めていたので。
公式としては、その会場ならではの生演奏の迫力や臨場感、一体感、熱狂、楽しさを思い出として大切に胸に刻んでほしいという想いがあったのかな、という気がしています。
が、その想いをあえて崩して、今回の音源化へと柔軟に対応して実現してくださったことには、本当に感謝の極みでしかありません。ありがたいです。ありがとうございます!

で、肝心の曲自身の感想ですが、やっぱりすごく良いです。
そもそも「クロノ・クロス」の原曲自体が素晴らしいのですが、それをさらに進化させた楽曲になっています。
ゲームで綴られる物語やその雰囲気・空気感を重視しつつも、ゲームのBGMという枠を取り払って拡張表現された数々の楽曲。
ゲームも、ゲームのプレイヤーの思い出も大事にして、かつ音楽で表現できること・表現したいことを最大限に発揮させたような、そんな渾身の一曲一曲が揃っています。
これは、ゲーム開発スタッフの一員として内部にいながら、フリーランス(当時)として外からの視点も持てた光田康典さんだからこそ、為し得たことではないかと。
なんかもうね、本当にすごいです。表現力がすごい。
楽典的なことは素人だからよく分からないけれど、とにかくすごいということは理解できました。

表現力といえば、演奏者の方々の熱意もすごいです。
豊洲公演で演奏されている姿を直接目にした分、思い出補正がかかっているのかもしれませんが、音だけでも熱意が伝わってきます。
緊張感のある楽曲はより深淵を、切ない楽曲はより心に刺さる音色を、楽しい曲はより大騒ぎ感を、持てる情熱の全てを注ぎ込んで表現されているように感じました。
特に「MAGICAL DREAMERS」はその最たるもので、演奏を聴いてるだけで「これ、絶対演奏者が一番楽しんでるヤツだ!」という雰囲気をひしひしと感じました。
演奏者さんがとても楽しそうで、それが音を通じて伝染するためか、聴いているだけの自分もめちゃくちゃ楽しい気分になりました。
自然と手や足でリズムを刻んでしまうし、身体が揺れてしまうし、それがすごく楽しいです。ヤバいくらい楽しいです。

余談ですが、より楽しみたいならヘッドホン推奨です。
爆音を出せる環境ならスピーカーの方がより実際の会場に近い雰囲気を出せるかもしれませんが、それが難しいならヘッドホンの使用をオススメします。
自分も最初はスピーカーで聴いていたのですが、PC作業しながらヘッドホン使用に切り替えたら、臨場感が桁違いで楽しさが倍増しました。

本作を聴いていたら、豊洲公演での楽しかった思い出が再び明瞭に蘇ってきた気がします。
参加当時、オールスタンディングのライブ形式がすこぶる苦手で楽しめるかどうか不安だったのだけど、クロノクロスライブはそれを覆す勢いで心の底から楽しめたライブでした。
クロノクロスライブのおかげで、苦手意識が幾分払拭されてたことも、思い出の一つです。
完全に取り払えたわけではないけれど、あんなに楽しいライブならまた行ってみたいと思えました……ということを思い出しました。

演奏された楽曲は、「クロノ・クロス」の物語に沿ったセットリスト、およびその内容を踏まえたアレンジになっています。
一部映像用SEが入っていたり、ゲームを踏まえた演出があったりもします。
が、そういった演出はごく一部なので、ゲームを知らなくても十分楽しめる楽曲になっていると思います。
まぁ、ゲームを知っていた方がより楽しめるのは、間違いありませんが。

そういえば、豊洲公演で聴いた時よりも音が整っていて洗練されている気がしました。
今回の配信にあたりマスタリングされたのかもしれませんが、音のバランスがすごく良いです。
現地では音の迫力と一体感と熱狂に圧倒されっぱなしで、「音を聴く」というより「音に流される」感覚が強かったのですが、配信版はちゃんと「音を聴く」に重心を置かれています。
現地特有のその場の勢いで流すのではなく、曲を構成する一音一音を丁寧に拾い上げて、「聴く」を重視してバランス調整されているような感じです。
そのためか、現地で鑑賞したときよりもしっかり音が聴き取れるようになっています。その分、しっかり「音を楽しめる」ようになっています。
ライブ会場ならではの一体感も捨て難いけれど、こうしてしっかり音が聴けるのもやっぱり良いものだなぁ、と思いました。

と、ここまでひたすら褒めちぎってきましたが、欠点というか自分には合わなかった点が、実は1つだけあります。
アンコール、なんか長くないですか?
細かく言えば、コール&レスポンスと奏者紹介がやたら長くてクドいと感じました。
現地参加時は、会場のノリと熱狂の渦に飲み込まれていたから全く気にならなかったのですが。
こうして音源化されて客観視できるようになり、そして何回も聴いていると、段々と鬱陶しいと感じるようになってしまいました。
ライブの模様を余すところなく音源化したから、やむを得ないこととは理解しています。
また、ライブ参加組の方にとっても、そちらの方が望まれるのだろうということも認識しています。
ただ、熱狂の外に出て冷静になった自分には合わなかっただけだと思います。

あまりに鬱陶しかったので、せっかく配信してくださったことへの申し訳なさを感じつつも、コール&レスポンスと奏者紹介の入る曲をスキップするように設定したら、自分的にはすごく聴きやすくなりました。
似たような印象を抱いている方は一思いにそうした方が、もっとアルバム全体を楽に楽しめるようになるかもしれません。

というわけで。
待ちに待った念願のクロノクロスライブの音源化でしたが、やはりすごいライブだったのだなぁと改めて実感を抱きました。
作曲された光田康典さんを始め、演奏者の方々や音作りに参加されたスタッフの方々全員の渾身のツアーでありアルバムであることを、音を通じて強く感じました。
ライブに参加された方もそうでない方も、クロノ・クロスの楽曲が好きな方、光田さんの曲やその曲が織りなす幻想的な世界観が好きな方に、特にオススメです。
このボリュームで、この価格で、このクオリティなら、買わない手はないと思います。

[GMCD] 十三機兵防衛圏 オリジナル・サウンドトラック

PS4用ソフトとして発売された「十三機兵防衛圏」のOSTを一通り聴いてみました。
収録曲数は、CD4枚組で全83曲。
再生時間は、トータルで約5時間になります。

なお、本作はebten専売品になります。今のところ一般流通はしていないようです。
ebten専売はあっという間に販売終了になることがしばしばあるので、購入予定の方はお早めに。

ゲーム本編の方は、先日ようやくクリアしました。
ゲームより先にこのOSTを購入していたのですが、OST購入当時からゲームをプレイする気まんまんだったため、クリアするまで開封せずに、これまでずっと保管していました。
ゲームをクリアして、ようやくOSTを開封できました。やったね。

とはいえ、ゲームをプレイしてみたものの、実はBGMの印象が非常に薄かったりします。
SLGパート「崩壊編」の戦闘中のBGMはなんとなく覚えているし、最終バトルの曲はたまらなく熱くて好きなのですが、ADVパート「追想編」のBGMはほとんど記憶に残っていません。
環境音やSEの印象の方が強いくらいです。
OSTを聴いてようやく「バックでこんな曲が流れていたのか」と認識したくらいです。

ただ、改めて聴き直していたら、いろいろと見えてくるものがありました。
むしろ、いろいろと見え過ぎてきて、今、頭の整理が若干追い付いていません。
どこでどの曲が流れていたのかロクに覚えていないのに、ストーリーはなんとなく把握しているのが影響しているのか、何周か聴いていたら急に曲とゲーム本編の内容がリンクし始めて、「あれは、そういう意味だったのか」という気付きが大量発生し、現在、情報の氾濫に飲まれつつあります。
OSTだけでも、ものすごい情報量を含んでいます。これ、深堀するとドツボにハマるヤツです(誉め言葉
そんなわけなので、中途半端にゲームを進めた状態で本作を聴くと、思わぬところでネタバレを食らうかもしれません。
本作を聴くなら、ゲームプレイ前の真っ新な状態か、ゲームをクリアしてネタバレOKな状態の、どちらかが良いと思います。
個人的には、後者を推奨します。

追想編のBGMは、オーケストラ調がメインで有機的。
喜怒哀楽のあるドラマ性の感じられるものが多いです。
イベントの多いADVパートのBGMだけあって、なんとなくシーンが目に浮かんでくるような、良い雰囲気を醸し出しています。

対して崩壊編のBGMは、電子音によるテクノサウンドがメインで無機的。
特にバトル中に流れるBGMは、メカニカルな音色が織りなす軽やかな旋律と調和で彩られていて、格好良いです。
現実時間で1バトルにつき数十分ほど聴き続ける曲だけあって、いくらでも聴いていられます。

崩壊編のバトル曲、曲名も非常にツボでした。
バトル曲の曲名は基本的に「-(xxx)-」と「-」で連結状態になっているのが、まず1つ目のツボ。
それでいて、最初は「(VALINE)-」で始まり、最後は「-{EDGE OF THE FUTURE}」で終わるという、終端部分がちゃんと表現されているところが2つ目のツボ。
そして、「-(xxx)-」と丸括弧で囲われている単語がアミノ酸で、「-[xxx]-」と角括弧で囲われている単語が糖の名前であるところが、3つ目のツボでした。
これ、ゲームプレイした方ならきっと分かってもらえると思うのですが、気が付いた瞬間「あぁぁぁ! そういうことかぁぁぁ!!」とテーブルを叩きながら悶絶しました。
曲名考えた人、天才過ぎませんか? 天才ですよね??

3つ目のツボについては、最初、何を意味する単語か全く分かりませんでした。
括弧の形が3種類(最終戦の曲名はあからさまに英語なので除外すると、実質2種類)ある点に、何らかの意図があるのは見えていたのですが、それが何かまでは理解が及ばず。
有機化学は高校レベルで止まっている自分の知識では、「なんか、デオキシリボ核酸みたいな名前があるなぁ」ぐらいのレベルまでしか到達できませんでした。
その後、何周目の再生だったか、セットリストに並ぶ曲名をぼんやり眺めていた時に「……これ全部、有機化合物の名前じゃね?」とふと気付き、片っ端からググって分かった瞬間に、ぶわっと鳥肌が立ちました。
本当に、名付け親が凄い。凄すぎです。脱帽モノです。
ついでに言うと、調べれば調べるほど沼です、これ。有機は専門外だけど、自然と調べるのが楽しくなってくる不思議効果が発動されそうです。ぐぬぬ。

機兵とDという無機物同士のバトル曲に有機物の名前を付けるとか、どんだけの逆転の発想ですか。
いや、ゲームの内容的にはすこぶる正しいですが! がっ!!

ついでに言えば、最終戦の曲名が「-{EDGE OF THE FUTURE}」と”波”括弧で表記されているのは、「WAVE」を表しているものと思いました。
これも、本当にもうね……もうねっ……!

まさか、OSTの曲名だけでこんなにも心が躍ることになろうとは思ってもみませんでした。

個人的に一番の推し曲は、その最終戦BGM「-{EDGE OF THE FUTURE}」。
ゲームプレイ中に聴いた時も、OSTで聴いた時も、変わらず不動のイチオシです。
最終戦は進捗によってBGMが三段階で変わるのですが、OSTではそれをメドレー形式で再現。
第一段階で主題をなぞる甲高い音色は、まるで機兵とDの鳴き声のように聴こえました。
続く第二段階は、重厚なオーケストラ調。その重さが、主人公たちの焦りのように感じられました。
ゴールまではまだまだ遠く、しかし疲労は徐々に蓄積し、活動限界は確実に近付いている……そんな焦りです。
そして第三段階では主題である「Brat Overflow」のアレンジが絡み合い、とても熱い展開になっていました。
ようやくゴールが見えてきて、一丸となってラストスパートをかける感じが、半端なく熱かったです。
最後に主題を持ってくるのは常套手段といえばその通りなのですが、しかし自分の心にはぐっさり刺さりました。

欲を言えば、各段階2ループずつ聴きたかったです。
OSTでは1ループずつしか入っていなくて、好きな曲なだけに「あと1ループずつ聴きたい!」と思いました。
まぁ、2ループにしたら単純に尺が倍になり10分超えの長尺になってしまうので、仕方ないとも理解していますが……とりあえず言っておきます。

次点で、「-[DEOXYRIBOSE]-」。
前述の「デオキシリボ核酸みたいな名前」は、この曲のことです。
途中で入る混声コーラスが主人公たちの声のように聴こえ、さらに女声ボーカルソロが物語のキーになるキャラの歌声のように感じ取れてしまったら、もう感動が止まりませんでした。
深い、深いよ……十三機兵は奥が深い……。
なお、この曲の一つ前の「To the Final Battle」もとても好きです。
終盤戦に挑まんとする焦燥感と危機感、負けられないという強い意志を、ひしひしと感じます。
この2曲はセットでいくらでも聴いていられます。

印象的な曲と言えば、本作においては「Brat Overflow」ほど印象に強く残る曲はないかと。
おそらく本作のテーマ曲と思われる曲です。
オケやテクノが大半を占める中、この曲だけは異質なほどエキゾチックなものになっています。
それも、ゲームをクリアした今ならすこぶる納得なのですが。
十三機兵はBGMだけでも情報量がめちゃくちゃ多いです。多いけれど、無駄がありません。その緻密かつ精巧さには、もはや感嘆のため息しか出ません。

というわけで。
ゲームをクリアしたのを機に紐解いた「十三機兵防衛圏」のサントラでしたが、ゲーム本編に負けず劣らずの情報量に胸が熱くなりました。
ゲーム本編の全体像は朧気にしか把握していないのですが、それでもこの”ゲームのサントラ”の域を余裕で超えるほどの情報量の多さには、考察欲を大いに刺激されました。これは、熱いです。
本作の大半はわりとゲームのBGMに徹していて、全体的に主張の乏しい曲(BGMとしてはとても正しい)が多いので、ぜひゲームをクリアしてから聴いてほしいです。
そして、その情報量の多さに圧倒されてほしいです。
それを遠くから眺めて、ニヨニヨしたいです。

[GMCD] AFTERLOST - 消滅都市 ORIGINAL SOUNDTRACK

iOS/Android用アプリゲーム「消滅都市」の派生タイトル「AFTERLOST - 消滅都市」のOSTのデジタル配信が開始されたので、購入して一通り聴いてみました。
収録曲数は34曲、再生時間はトータルで約82分です。

なお、ゲームは未プレイです。
派生前のタイトル「消滅都市」(無印)は一時期プレイしていましたが、「消滅都市0.」がリリースされる頃にプレイを止めてしまいました。
その後「消滅都市」を完全リニューアルした「AFTERLOST」がリリースされたことは知っていましたが、結局こちらも未プレイのままです。

ちなみに、本作と同時リリースの「LAST ALBUM」は、つい先日、先に聴いてみました。
やはり聴く順番を間違えた気がします。はい。
ついでに言うと、「消滅都市」(無印)のOSTは2枚とも聴いています。

本作の収録曲は、「AFTERLOST」が「消滅都市」(無印)のリメイク作品というだけあって、無印のOSTの曲が多用されています。
多用されているというか、わりとそのままにしか聴こえない曲が多いです。
特に、曲名に「Remake」と銘打たれているものは、多少リマスタリングしているかもしれませんが、ほぼ旧譜のままです。
素人の耳では違いがよくわからないほどそっくりです。

「Remake」と付いている曲は、収録曲のうちの半分ほどを占めます。
つまり、収録曲の半分は、無印OSTで聴いたものとほぼ同じ、ということになります。
なので、旧譜を知っている方が本作を聴くと、流れてくる曲の半分ほどで「なんか前に聴いたことがある……」というデジャヴを感じることになるかもしれません。

それに対して「Remix」と付いているものは、「あ、なんかちょっと違う」と感じる程度には違いが分かります。
ただ「なんか違う」という程度で、原曲との差異はそれほど大きくありません。
伴奏パートが少しアレンジされていたり、イントロやループ終端の曲の展開がほんのり違っている程度で、曲のテンポやノリの良さ、空気感はそのまま継承。
それを正統進化と見るか、新鮮味に欠けると見るかは、人によるかもしれません。
俺は、正直に言ってしまうと、後者の方でした。

曲名に「Remake」とも「Remix」とも付いていないものが、おそらく「AFTERLOST」用の完全新曲と思います。
それが、4曲ほどあります。
4曲とも、メイン楽器はピアノ。ピアノソロ、あるいはピアノ協奏曲+ボーカルです。
そのいずれの曲も、クオリティは悪くありません。しっとりしたピアノの旋律が心地よくて、テクノの連続で疲れた耳を癒してくれるような気がします。
特に、「Memories of You」の中盤と終盤のオーケストラ調の盛り上がりには、グワッとした興奮を感じました。
それと、「Anomaly and Erosion」の切ないような暗いピアノの流れる旋律は思わず聴き入ってしまいます。

ただ、完全新作曲の周囲を「消滅都市」(無印)で人気の高かった曲が取り囲んでいる状態なので、新曲はどうしても埋もれがちになってしまっています。正直、勿体ないです。
加藤浩義さん、川越康弘さんの曲がいかにキャッチーだったかを、本作でしみじみ思い知らされました。
まぁ、「Eternity」や「I miss you baby」は、ガチでノリの良い名曲だもんなぁ。

本作収録曲のほとんどが原曲のRemakeまたはRemixなので、全体的な雰囲気も無印OSTと変わりはありません。
ピアノや弦などのアコースティックなサウンドも交えた、非常にノリの良いテクノが揃っています。
疾走感と浮遊感のあるあっさりしたサウンドで、とても聴きやすいです。
なんかこう、音が耳にスッと触れてサラッと流れていくような感じというか。
良い感じに場を盛り上げてくれるアップテンポなテクノが多くて、気分を明るくしたいときに最適かもしれません。

また、無印OSTの2枚の選りすぐりがRemakeあるいはRemixされて本作に収録されているので、もともと良曲の多かったOSTがさらに洗練されて、全体的に良曲しかありません。
軽快でノリの良いテクノが、右を向いても左を向いても並んでいる状態です。
気が付くと、ずっと曲に合わせて手や足でリズムを刻んでいたりもします。
それくらい、このノリの良さを自分は気に入っているみたいです。

というわけで。
本作は「AFTERLOST - 消滅都市」版のOSTでしたが、相変わらずの気持ちの良いテクノ曲揃いで楽しく聴けました。
新曲・新アレンジが数えるほどしかないという点はやや肩透かしを食らった気分ですが、それを補って余りあるほどに良曲しかありません。
「消滅都市」の曲の雰囲気が好きでアルバムをコンプリートしたい方、もしくはこれから「消滅都市」の曲に触れてみたい方にはオススメです。

[GMCD] 消滅都市 LAST ALBUM

スマホ用アプリゲーム「消滅都市」のサウンドアルバム「消滅都市 LAST ALBUM」の配信が5月下旬から開始されたので、購入して一通り聴いてみました。
収録曲数は17曲。再生時間は、トータルで約48分。

「消滅都市」のゲーム自体は、以前2年間ほどプレイしていたことがあります。
2年ほどプレイしているうちに、だんだん成長の実感が得られなくなって飽きてきてしまい、ここ数年は全く起動しなくなっていました。
いつまでプレイしていたか明確には覚えていないのですが、確か「消滅都市0.」の配信開始直前の頃まで、だったような気がします。

ただ、BGMの良さはいまだに強烈に印象に残っているため、本作の購入に至っています。
旧譜であるOSTの2枚と「Remix works」も持っていて、かなり聴き込みました。
というか、「消滅都市」はBGMから入った身なので、BGMの方が思い出が強いです。

ちなみに、同時配信開始の「AFTERLOST」のOSTも、合わせて購入済みです。
両方同時に買ったはいいものの、順番的にどちらから聴けば正しいのか迷った挙句、こちらの「LAST ALBUM」から聴き始めた次第です。
まぁ、本作を聴きながら、自分がプレイを止めて以降どういう展開をしたのか調べていくうちに、「あ、聴く順番間違えたかも」という気もなんとなくしていますが。
……ま、いっか。

本作を一通り聴いてみた第一印象は、「旧譜より軽やか」でした。
爽やかさやノリの良さは旧譜と同様なのですが、どことなく軽やかな気がします。
なんかこう、曲の底流にあったずっしりとした重荷が外れているような。
旧譜のOST2枚が必死の全力ダッシュをするような疾走感だとすれば、本作はスキップするような軽やかさです。

そのためでしょうか、かなり気楽にさっくり聴けました。
どの曲を聴いても爽やかで、耳をさらっと撫でていく感じがとても心地良いです。
新緑の季節に流れる風を彷彿とさせられました。

収録曲は、ほぼ完全新曲。
既存曲から一部フレーズだけ拝借というのは時々ありましたが、まるっとアレンジというのは無さそうです。

曲調は、全体的にはテクノです。数曲ほど例外がありますが、テクノです。
あっさりしたテクノで、そこは旧譜と変わりません。
大人っぽい雰囲気のスタイリッシュさも旧譜と同様ですが、本作は特に聴いていて気持ちの良さを感じました。
時間の許す限りエンドレスで聴いていられるくらい、引っ掛かりのない曲が揃っています。

どの曲もとても良曲なので、じっくり聴いても楽しいです。
それでいて軽やかさと爽やかさがあって、作業用BGMとして流していても邪魔をしません。
このアルバム、かなり万能ではないでしょうか。

個人的なイチオシ曲は「Intense」。
ヴァイオリンの奏でる響きがめちゃくちゃ格好良くて、一目惚れしました。
すごく魅せられる響きで、これ本当に格好良いです。たまりません。推せます。

推しと言えば、「消滅都市」のテーマ曲的な存在である「Eternity」が好きな身としては、「harmony」や「楽園」もたまりませんでした。
旋律の隙間から時折「Eternity」のフレーズが聴こえるところが、心にサクサク刺さりました。
「harmony」にいたっては、「世界の終わりと最後の言葉」の歌詞のオマージュとしか思えない歌詞まで出てきて、なにこれ熱いです。超熱いです。

「Choose to love」の三部作もかなり好きです。
phase1~3の3曲あるのですが、どの曲もピアノの調べが印象的な綺麗な曲です。
ガラスのように透き通っていて、水のように流れる旋律が、耳に心地良く響きました。
なお、Phase1と2のアウトロはブツ切り状態になっており、次の曲へとシームレスに繋がるようになっています。
これ、ゲーム内でもシームレスに遷移していたのでしょうか。ちょっと気になりました。

気になったと言えば、日本で生まれ育った身としては聴き馴染みの「ボギー大佐」(Colonel Bogey March)のアレンジが流れたのには驚きました。
運動会でよく耳にする行進曲です。サンプルを聴けば、多くの方が「あ、これか」と思うであろう曲です。
2曲収録されていて、1曲目はシンプルな吹奏楽風。2曲目がほんのりサイケデリックなトランスにアレンジになっています。
サイケと言っても爽やかさは失われていないので、わりと聴きやすかったです。
ちなみに、この曲の名前を「ボギー大佐」(邦題)ということを、本作で初めて知りました。そうだったのかΣ

というわけで。
久しぶりに発表された「消滅都市」の新譜の1枚でしたが、個人的にツボった曲が多くて、とても楽しめた1枚でした。これは良いアルバムです。
同時発売の「AFTERLOST」もこれから聴くのですが、そちらも期待大です。

[GMCD] FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrack

PS4で発売された「FINAL FANTASY VII REMAKE」(以下、FF7R)のOSTが発売されたので、購入して一通り聴いてみました。
なお、購入したのは初回限定版。予約開始直後に、ヨド〇シ.comで注文しました。
サントラ本体はCD7枚組で計156曲収録。再生時間は、トータルで約8時間30分。
初回限定特典のCD「Jukebox Selection」は24曲収録で、再生時間はトータルで約67分。

再生時間を見れば、CD1枚あたりのとてつもない詰め込み具合が分かるかと思います。
かなりぎっしり詰め込まれています。ボリューム感、半端ないです。
サントラ本体と特典CDを合わせると10時間近くに及ぶので、いくら聴いてもなかなか終わりが見えません。
これでゲーム1本分のサントラとか、マジですか。
さすがスクエニ、やることのスケールが桁違いです。

ちなみに、ゲーム自体は、現時点では未プレイです。
近日中にプレイするつもりではいます。
とはいえ、プレイ途中のゲームをクリアしてからにしたいので、あと1, 2ヶ月先になるかも。

ゲームをプレイする目途が立っていないうちに、サントラを真っ先に予約するあたりは、ゲーム音楽好きの性分が如実に出ました。
まぁ、FF7RのOST初回盤は、発売1ヶ月前の時点で軒並み完売状態だったそうなので、今回はその性分が良い方向に働いてくれました。よくやった俺。

なお、FF7Rは未プレイですが、FF7無印はプレイ済みです。
かなり周回プレイして、マテリア増殖させまくったり、スノーボードで徹夜したりしていました。
また、FF7RがFF7無印でいうところのミッドガル脱出までしか描かれないことも知っています。

それを踏まえてOSTを聴いてみたところ、FF7無印とFF7RではBGMが大きく異なっていることに、まず衝撃を受けました。
アレンジの枠を大きく超えていて、なんというか、もはや別物に近いというか。
原曲を一度粉砕して、あちこちに散りばめたり再構成し直したりしたような、そんな曲が多い印象です。

ただ、それが悪いわけではなく、むしろ20年以上の年月を経て進化を遂げたように感じられました。
グラフィックの進化に合わせて、音楽も進化しています。
グラフィックがリアルかつ大人っぽくなったからか、音楽も大人な雰囲気が強くて、硬派で格好良い曲になっています。
あの美麗グラフィックならば、ここまで大胆に進化しないと逆に合わないような気がします。

本作では、生録がかなり多用されているところにも、時代の流れを感じました。
原曲は確か、ほぼ全曲Roland社のMIDI音源「SC-88Pro」で制作されたという話だったかと。90年代後半のアマチュアDTMer御用達のハード音源です。
あの小さい箱から生み出されたFF7の原曲が、20数年の時を経てものすごい大編成を組んで帰ってくることになろうとは……未来なんて誰にも予測できないものですな……(しみじみ

原曲をスクラップ&ビルドし、FF7Rオリジナルの要素を多く含んでいるため、原曲を知らなくても本作は十分楽しめます。
原曲は、知っているとより楽しめる程度です。
原曲を知っていると「あの原曲がこう変わったのか!」という新鮮さを味わったり、原曲のフレーズ探しを楽しんだりもできますが、まぁ知らなくても全く問題ありません。
逆に、原曲への愛着が強過ぎると発生する「コレジャナイ感」は、今回あまり感じませんでした。
むしろ、曲としてのクオリティが全体的に高くて、終始ワクワクが止まらなかったほどです。

そういえば、大ボリュームと言えば、FF7無印のOST発売当時、植松伸夫さんが「大容量になったから、映画音楽のように同じ曲が二度と出てこないようにしたかった」という話をされていたような記憶があります。
「FFVIIメインテーマ」が、当時にしては驚異的に長い尺になったのは、確かその名残だったかと。
今回のFF7Rでそれに近いことが実現されていて、20年越しで念願叶ったのかなとほっこりしたりもしました。

しかし、この膨大なボリュームでもまだFF7全体のほんの序盤ってことは、このペースで最後まで作り上げたら一体どんなことになるのか。
作曲家さんや開発スタッフさんたちはとんでもなく大変だと思いますが、一ファンとしてはとても楽しみです。

曲単位で言えば、アレンジ半分、FF7Rオリジナル楽曲が半分、と言った感じです。
アレンジに関しては、結構あちこちで「闘う者達」「更に闘う者達」「FFVIIメインテーマ」の変奏を耳にしました。
次点で「エアリスのテーマ」や「J-E-N-O-V-A」。
同じフレーズなのに何パターンもあって、作曲家の力量のすごさを実感しました。
有名な作曲家って本当にすごいな。どんだけ引き出し持ってるんだ……。

FF7Rオリジナルの楽曲も、とても格好良い曲ばかりです。
原曲アレンジにも負けない存在感を放っていました。
これはもう、本当に参加コンポーザーの皆さんすごいなっていう感嘆しか出てきません。ほんと、すごい。

アレンジ系で一番好きなのは「ヘルハウス」。
超絶ごった煮感満載の曲なのですが、それがすごくツボでした。
ティンパニの重低音が鳴り響く1分のイントロ以降、原曲数曲分のフレーズが入れ代わり立ち代わり現れては去っていくを繰り返すのが、なんか面白くてすごかったです。
正直「なんかすごかった」としか言いようがないくらい、すごかったです。

それと、サントラ本編ラストを飾る「スタッフロール」の後半が「FFVIIメインテーマ」なところも、FF7無印を知っている身としては感慨深いものがありました。
先の物語を予感させるような壮大な編曲と演奏で、曲だけで感動の洪水に飲まれました。
これだけでも、これからゲームプレイすることへの楽しみが爆上がりです。こんなん、テンション上がらないわけがない。

意外と好きなのが「闘う者達 -秘密基地-」。
原曲から主旋律を除いて伴奏だけにした感じのアレンジなのですが、これはこれで面白かったです。
伴奏パートってこんな感じだったのか、という新鮮さを得られました。

FF7Rオリジナル曲の中で、特に強く耳に残ったのは「陥没道路」。
ほんのり中華風味なさっぱりとしたテクノ調のノリの良い曲なのですが、妙に印象に残る曲です。
こればかりは、聴いてみてもらった方が早いです。公式サイトのトラックリストから試聴音源を聴けるので、そこで聴いてみてほしいです。

それと「断罪の処刑マシン」も、異常な格好良さが最高にたまりませんでした。
聴くとテンションがグンと上がる、オケロックな楽曲です。
開始1分および2分22秒あたりから始まる30秒ほどが、ピンポイントでものすごく好きです。

本作は、楽曲数がとんでもなく多いだけに、コンポーザーさんも多数参加されています。
しかも、めっちゃ豪華です。
メインは、植松伸夫さんを軸に、浜渦正志さんと鈴木光人さんが担当。
その中に時折、オクトラの西木康智さん、モンハンの牧野忠義さん、武蔵伝やチョコダン2の関戸剛さんのお名前もありました。

もはや誰が参加されていてもおかしくないほどの豪華な顔ぶれでしたが、さすがにエスコンの小林啓樹さんのお名前を見つけたときはとても驚きました。
まさか、FFで小林さんのお名前を見る日が来るとは予想していなかったので。
ですが、提供されたわずか1曲の曲名が「ヘリガンナー」とあって、「あ……(察し」となんだかものすごく腑に落ちた気分になりました。
曲自体は、すごく小林啓樹さんの作風が出ています。
オケの重厚感に加えてスタイリッシュな疾走感と浮遊感があって、それでいてFF7R全体の雰囲気から浮いていない、とにかく格好良い楽曲です。
小林啓樹さんの作風が好きな方は、高確率で刺さると思います。

作風と言えば、「運命の番人」の3曲がものすごく浜渦節が出ているので、浜渦正志さんの作風が好きな方に特にオススメです。
3曲目の「運命の番人 -特異-」の前半は変拍子ありまくり音跳ねまくりのキラッキラ感があって、浜渦さんらしさが如実に出ている尖った楽曲になっています。
FF10の「決戦」に比べると大人しい方だけど、このキラッキラしたピアノ音色、すごく好みです。

参加コンポーザーさんの数もすごいことになっていれば、参加演奏家さんの数もすごいことになっているのが、ブックレットを見るとよく分かります。
もう本当に、参加人数のすごさがすごいとしか表現のしようがありません(語彙力
あれは、見るだけで一見の価値があると思います。ある意味、視覚への暴力です(誉めてる
FF7Rに注がれたいろいろな力の大きさを、文字で表現したかのような圧倒感がありました。

ついでに、特典CDについての感想も。

特典CD「Jukebox Selection」は、特典にしておくのが勿体ないほど出来が良いです。
普通に1枚のアルバムとして聴けます。
これ単体で発売しても良いのではないかと思えたほどです。

収録曲の多くは、原曲のアレンジです。
が、数曲ほど、本作オリジナルの曲もあります。
オリジナル曲も、とても出来が良いです。
「忠犬スタンプ」と「ミッドガル・ブルース」にいたっては、原曲アレンジを抑え込んで自分の耳に居座り続けたほど、強く印象に残りました。
原曲アレンジの中では「涙のタンゴ」が好きです。「勝利のファンファーレ」がムーディーに奏でられるアコーディオンが印象的でした。

というわけで。
FF7Rのサントラをゲームプレイより先に聴いてみましたが、原曲から大きく進化して、重厚で格好良くてものすごく強いパワーの感じられる大ボリュームの作品でした。
これで満足しないわけがなかったです。大満足です。
FF7Rゲーム本編がまだ無印の序盤までしか描かれていないかと思うと、これから先どんな楽曲が出てくるのか先が楽しみで仕方ありません。
FF7Rの続編が発売されて、OSTも発売されたら、間違いなく買います。
まだ登場していない原曲がどう料理されるのか、どんなオリジナル楽曲がぶち込まれてくるのか、想像するだけでとても楽しみです。