[GMEV] テイルズ オブ オーケストラコンサート 2018

10月6日(土)に、「テイルズ オブ」シリーズの公式オーケストラコンサート「テイルズ オブ オーケストラコンサート 2018」(以下、テイオケ)が開催されたので、行ってきました。
会場は、パシフィコ横浜 国立大ホール。
14:00に開演し、16:15頃に終演しました。

指揮は、栗田博文氏。
演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団。
合唱は、Brazz~鳥の吟遊詩人たち~。

なお、今回の感想は少々辛口になると思うので、嫌な予感がした方はバックしてください。

■4年前の記念コンサート以来のアラカルトな構成
2015年の初回以来、今回で4回目となる「テイルズ オブ」シリーズのオーケストラコンサート。
4回目にして初めて、休日(土曜日)に開催されました。
過去3回とも平日開催で、行くなら仕事を調整して年休取得しないといけなかったけれど、今回は気が楽でした。

2016年と2017年の2回は、TOZ(アニメ版TOZ)やTOBにフォーカスした楽曲が演奏されましたが、今回は初回公演に似たアラカルトな構成になりました。
TOZの楽曲は好きだけどアニメ版TOZは途中リタイアし、TOBはコンサート開催当時未プレイだったこともあって、結局2016と2017は行かなかったので、初回公演ぶりの参加になります。
ちなみに、行かなかった2016と2017も、後日発売されたコンサートCDは買って聴きました。

今回のプログラムは、メインに今年10周年を迎えるTOVを据えつつ、他のシリーズ作品も広く浅く取り入れた構成。
初回公演以来の再演曲もあったけれど、多くは今回初披露曲でした。
マザーシップタイトルではない作品からの選曲もあって、なんとなく変化球の多かった印象があります。
その変化球な曲はどれも原曲知らない/覚えていなかったけれど、今回聴いてどれもとても格好良くて、「こんな曲もあったのか」という新発見を感じて楽しかったです。
良曲ならばマイナーな作品の曲を取り入れていくのもアリだと思うし、むしろ度を超えない程度にドンドンやって欲しいとも思いました。

なお、TOVと同じく発売10周年記念のTOS-R、TOH、発売15周年記念のTOSは、あまり出番がありませんでした。
1曲も演奏されなかったという事態には、さすがにならなかったけれど、TOVに比べると扱いがイマイチな感じがしました。
もっとも、1作品でアニバーサリーイベント開催できてしまうくらいTOVは人気が高いから、仕方ない気もしますが。
ちなみに、個人的にもTOVは「テイルズ オブ」シリーズの中で1, 2を争うくらい好きな作品で、今回演奏会の目当てもTOVだったので、プログラムには特に問題ありませんでした。

■オケらしい格好良さを追求した編曲
全体的に、オケの持つ表現力で原曲の格好良さを引き出すようなアレンジでした。
原曲をそのままオーケストラに落とし込むのではなくて、原曲の味を生かしつつ、オケならではのエッセンスを追加したような感じです。
原曲重視というほど原曲そのままではないけれど、原曲破壊というほど原曲の面影がないわけでもない。
原曲の格好良さはそのままに、オケらしい豊かな音色を響き合わせて壮大にさせたような。
そんな絶妙な匙加減で、「ガチでオーケストラ用に譜面を起こすとこうなるのか」というプロの本気を見た気がします。

過去のオケコンで演奏されたことのある曲も数曲ありましたが、それらは少し改訂されていたような気がします。
主にイントロ部分が変わっていたような・・・記憶違いかな。

■ゲーム音楽コンサートではお馴染みの栗田氏+東京フィルによる安定した演奏
演奏は、流石は栗田博文氏+東京フィル、と言わんばかりの、安定感と安心感のある演奏でした。
ゲーム音楽は演奏されることを想定していない曲が多く、実際に演奏しようとすると高難易度になりがちで、今回も聴いた感触としては鬼畜譜面としか思えない曲が多数。
しかし、そんな高難易度の曲も、見事に弾きこなしていました。
あの栗田氏と東京フィルならではの安心感、本当に半端ないです。

今回のコンサートに限りませんが、栗田氏も東京フィルも、実に様々なゲーム音楽を演奏されているのが、本当にすごいです。
ゲーム音楽のコンサートはまだまだ成長途上なので、演奏される曲の多くが初演です。
毎回、ほとんど予備知識のないまま、書き起こされた譜面とデモ(とゲームの解説?)から曲を解釈して、見事に昇華してみせるのが、プロとはいえすごいことだと思います。
コンサートの度に、いつも感心します。

■オーケストラに造詣の深い人を監修に入れてほしいと痛感
演奏自体はとても素晴らしいものだっただけに、スピーカー出力が強めだったことがとても残念でした。
自分の座席位置が、直線距離にすると指揮台よりもスピーカーの方が近かったためかもしれませんが、楽器から出る音がスピーカーから出る音にかき消されてしまっていました。
ヴァイオリンやホルンの音が、演奏者の位置ではなく、他の楽器とまとめてスピーカーから聴こえてくるのです。
そのため音が平面的に聴こえて、臨場感が木っ端みじん。
CD音源を爆音で聴いているような気分です。
チケット代を考えるとちょっと割に合わない気がしました。

特に第1部は、その感覚が終始抜けませんでした。
生演奏、特にオーケストラの場合は、立体感のある音の響きも重要なのに、この点は本当に残念。

残念と言えば、今回初めて導入されたペンライトも、正直いらないと感じました。
自分はペンライト買わなかったし使わなかったのですが、近くの人のペンライトの眩しさに集中力を削がれて、めちゃくちゃ邪魔でした。
バトル曲のような熱い曲、ノリノリになれる曲限定ならまだしも、ほぼ全曲ペンライト使用。
バラードにペンライトとか、本当にもう、意味がわかりません。
誰だよ、ペンライト導入しようって言い出した人&それを承認した人。
オーケストラコンサートは音の響きの調和とそれが醸し出す空気感や世界観を楽しみに来てるんだ、ノリノリになるために来てるんじゃない。
多くのオーケストラコンサートで、開演中の携帯電話やスマートフォンの使用が禁止され、避難誘導灯が消灯される、その理由を深く考えて直してもらいたいです。

そんなわけで、次回は音響監修サイドに、オケに関する造詣の深い人を立ててほしいところ。
本当に、せっかくの素晴らしい演奏が勿体ないです。

■その他、細かいところで気になったところ
演奏自体と関係ないところで、ちょっと引っかかった点について。

今回、スペシャルシートを購入して鑑賞に臨んだのですが、ゲーム音楽のコンサートではよく見られるように、今回も全席指定にもかかわらず入場烈が長くなりました。
入場が始まってしまえば列はスムーズに進んだのですが、自分が入場する直前に、関係者受付口でチケットを受け取った人がスタッフの誘導に従ってスペシャルシート入場列に割り込み。
それを目の前でやられて、わりとイラッとしました。
バンナムかワーナーか他の会社の関係者かわかりませんが、お前らはどっち向いてビジネスしてるんだ、と思いました。
これが初めての公式オケコンなら「関係者用の裏口用意するの忘れてたのかな?」とも思えるところですが、さすがに4回目なのでそんな言い訳は通用しないかと。
ほんと、そーゆーところだぞ!

■感想まとめ
そんなわけで、演奏自体は素晴らしかったのに、それを台無しにする周辺のアレコレの影響で、終演後ももやもやの抜けない演奏会になってしまいました。
これならCDで聴いた方が、わだかまりなくすっきり楽しめたような気がします。
来年も開催されるかわかりませんが、今年と同じようなら、参加するか少し考えたいと思います。
とりあえず、ペンライトはやめてほしい。


これより下の追記は、今回の演奏会のプログラムと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMCD] NieR Orchestral Arrangement Album

A・RPG「ニーア」シリーズのオーケストラアレンジアルバム「NieR Gestalt & Replicant Orchestral Arrangement Album」と「NieR:Automata Orchestral Arrangement Album」の2枚と、特典ディスク1枚がセットになった「NieR Orchestral Arrangement Album」をゲットし、一通り聴きました。
曲数は、Gestalt & Replicantの方が11曲、Automataが10曲、特典ディスクが4曲。
再生時間は、特典ディスクを含む3枚合計で、約2時間ほどになります。

シリーズ1作目のGestalt & Replicantのゲームソフト発売当初から「曲が良い」と専らの評判だったニーアシリーズ。
その待望のオーケストラアレンジアルバムが、ついに発売されました。
ニーアシリーズの曲の良さを考えると当然の結果と思いますが、発売当初から人気の爆発したAutomataだけでなく、曲は問答無用で良いけれどゲームに関しては賛否両論で発売当初はパッとしなかったGestalt & Replicantまでアレンジされるとは。
自分も、ニーアシリーズにはGestalt & ReplicantのOSTから入った身なので、これはとても嬉しい出来事でした。

が、初めてこのアルバムを聴いたとき、「・・・・・・なんか、ピンと来ない」というのが第一印象として残りました。
演奏も編曲も素晴らしいアルバムなのは確かなのですが、なんかこう、スッと入ってこない感じです。
ゲームプレイ済みで、その世界観に強い魅力を感じていた身だからだと思いますが、本作のアルバムからはゲームの要素があまり感じられず、”ただオーケストラ用にアレンジしただけ”という匂いがしたからかもしれません。
オーケストレーションされた方全員がゲームプレイ済みかどうかわかりませんし、おそらく仕事として編曲された方もいらっしゃると思います。
なので、まぁ、そういうアレンジになるのも仕方ないと頭では分かっています。
ただ、ちょっと、自分の期待値が高過ぎたのかもしれません。

などと、先日開催されたコンサートまでは、今回のアルバムに対してそんな印象を抱いていました。
コンサートが終演した今は、「そんなこと、どーでもいいねっ!」となっています。

先月開催されたオーケストラコンサートは、ほぼ本作のまま演奏されました。
圧倒的な音の洪水と繊細な旋律に衝撃を食らって以来、本作を聴くとその時の興奮が甦って、これはこれでとても良い気がしてきました。
第一印象なんてそう簡単にひっくり返らないのに、それを180度転換させた生音補正、すげーな。

そんなわけで、コンサート以来、とても好きなアルバムに昇格しました。

中でもとりわけ好きなのが、Gestalt & Replicantの「愚カシイ機械」。
冒頭から流れるようなチェンバロ(かな?)の旋律に、衝撃が走りました。
セットリストが公開されたときにこの曲が含まれることを知り、原曲から好きだったこともあって嬉しかった反面、「あのメカメカしい機械音、どうするんだろう?」と疑問にも感じていました。
それを、まさかチェンバロを使って寄せてくるとは。これには心底唸らされました。

それと、「魔王」もとても好きです。
原曲と同様の前半の切なさと後半の勇ましさの対比が、オーケストラアレンジになってもたまりません。
なんかもう、聴いているだけで泣けてきます。

「全テヲ破壊スル黒キ巨人」も結構好きです。
バトル曲だけあって、オーケストラになってもとても滾ります。
ティンパニの力強さ、金管楽器の高らかな雄叫び、コーラスの繊細さが渾然一体となった迫力が、とにかくすごいです。

Automataの方は全体的に良アレンジばかりですが、「遺サレタ場所」と「遊園施設」が特に好きかも。
この2曲はゲームをプレイしていると比較的長時間聴くことになるので、原曲好きが高じてオーケストラアレンジも好きになったのかもしれません。
原曲を上手くオーケストラに落とし込まれていて、原曲好きでも違和感なく聴けました

特典ディスクは、Gestalt & Replicantから2曲、Automataから2曲の計4曲収録。
本編ディスクにはない曲が、アンサンブル形式に編曲・演奏されて収録されています。
フルオーケストラ形式ではありませんが、様々なアンサンブルが楽しめて、これはこれでとても面白いです。

それにしても、「生マレ出ヅル意思」を聴くと、脳内で「社長です」というボイスが自動再生されるのですが、どうにかならないでしょうか。
「コノママジャダメ」や「カミニナッタ」よりも「社長」の方が真っ先に出てくるんです。

そんなわけで、ついに実現したニーアシリーズのオーケストラアレンジアルバムでしたが、コンサートを経てとても好きなアルバムの1つになりました。
ニーアシリーズのサウンドが好きな方は、ぜひ聴いてみてほしいです。
それと、願わくば、オーケストラコンサートの再演を期待しています。
生演奏の良さを、もっと様々な人に知ってもらいたいです。

[GMEV] NieR:Orchestra Concert 12018

9月17日(月・祝)に、スクウェア・エニックスのニーアシリーズ公式オーケストラコンサート「NieR:Orchestra Concert 12018」が開催されたので、昼公演に行ってきました。
会場は、パシフィコ横浜 大ホール。
13:30頃に開演し、16:15頃に終演しました。

指揮は、大井剛史氏。
演奏は、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
合唱は、東京アートアカデミーシンガーズ。

■8年越しで叶った念願の公式オーケストラコンサート
ニーアシリーズの最初の作品である「NieR Replicant」と「NieR Gestalt」が発売されたのが2010年のこと。
それから8年の月日を経て、念願の公式オーケストラコンサートが開催されました。

自分のニーア歴は、まず「NieR Gestalt&Replicant」のOSTからでした。
「曲が良い」という評判を耳にしてゲームよりも先にOSTを購入、噂に違わぬ神曲揃いでどっぷりハマりました。
それが、OST発売直後の2010年5月のこと。
ゲームの方は、OST1を買ってからずっと後の2016年に、レプリカントのDエンドまでクリアしています。

オートマタは発売日に購入してプレイし、Eエンドまでクリアしています。
オートマタのOSTも発売日にゲットして、やはりどっぷりハマりました。

そんなわけで、曲に限って言えば、ニーアとの付き合いは8年以上になります。
その間、いくつかのアレンジアルバム発売や、バンド形式のコンサートなどがありました。
それらの実績を重ねて、ついに満を持しての公式オーケストラコンサート開催です。

まぁ、ニーアの実績を考えると、遅かれ早かれ開催されていたと思います。
だって、曲、めちゃくちゃ良いですもん。

ニーアの公式コンサートは毎回チケット争奪戦が超激戦なので、今回チケットゲットできるか心配でした。
が、スクエニ先行抽選で昼公演を無事ゲット。
座席位置は2階の中ほどだったけれど、あのホールに入れただけで満足です。

ちなみに、何かと”公式”オーケストラコンサートと「公式」を強調しているのは、有志によるオーケストラコンサートが一足先に開催されていたから。
昨年開催された有志オケコンもとても素晴らしいものだったのは、良い思い出です。

■オケアレンジアルバムが先か、コンサート開催が先か
演奏された譜面は、先日発売されたばかりの「Orchestral Arrangement Album」とほぼ同じだったと思います。
あらかじめ「Orchestral Arrangement Album」を軽く予習してからコンサートに臨んだのですが、旋律を覚えるほど聴き込んでいなかったので、自信はありませんが。
かろうじて印象に残っていたフレーズや展開がそのままだったので、たぶんほとんどアルバムのままだったのではないかと。

今回の演奏会自体、オケアレンジアルバムを発売するからコンサートを開催したような、コンサートを開催するからオケアレンジアルバムを制作したような、卵が先か鶏が先か状態なので、譜面がそのままなのは予想通り。
むしろ、あのアルバムの生演奏が聴きたかったので、願ったり叶ったりでした。

今回の演奏会では、そのアルバムの全曲が演奏されました。
1曲も漏れることなく全曲演奏してくれたのが、すごく嬉しかったです。
なお、「Special Disc」収録曲の演奏はありませんでした。こちらも予想通りなので、まぁ、そりゃそうだよな、という感じ。

譜面も同じなら、演奏順もほぼアルバム収録順でした。
違っていたのは、第1部レプリカントパートの「カイネ」と「全テヲ破壊スル黒キ巨人」の配置。
「カイネ」は第1部のトリ、「全テヲ破壊スル黒キ巨人」はアンコールで演奏されました。
第2部オートマタパートの曲順は、アルバムと同じです。

というわけで、曲そのものに関して、ここであーだこーだは言いません。
後日、アルバムの感想をこのブログに投下する予定なので、そちらを参照してください。
というか、アルバム聴いた方が早いです。むしろ聴いてください。

■生音の凄まじい破壊力
曲自体はほぼアルバムのままでしたが、生演奏は破壊力が違いました。
音の臨場感、立体的な響きの波状攻撃が半端なかったです。
アルバムを聴いていたときは「ほぉ」というくらいの感動が、演奏会では「ふおぉぉぉぉ!」とか「はわわわぁぁぁぁ!」とか数倍にも増幅されて襲い掛かってきました。
上手く言葉にできないのですが、とにかく込み上げてくるものの大きさがとんでもなかったです。
今回のコンサート、ホールで聴けて本当に良かったです。
生音ヤバい。ヤバい生音。

また、「カイネ」ではエミ・エヴァンスさんが、「Weight of the World」ではジュニーク・ニコールさんが、サプライズゲストとして登場。
生歌を披露してくださりました。
これがまた、めちゃくちゃ良かったです。
オーケストラとコーラスの生演奏でもすごかったのに、そこに歌声が加わったことで圧倒感が増しました。
これは、感動するしかない。感動しかありません。

「Weight of the World」は、ニコールさんが英語の歌詞を歌い上げつつ、バックで流れる映像は日本語歌詞という組み合わせでした。
一度に両方楽しめて、お得な感じがしました。

欲を言えば、個人的には「Weight of the World」のサビの部分、主旋律を金管楽器と弦楽器が交互に奏でるところが好きなので、そこもいつか生演奏で聴いてみたいです。
「Weight of the World」は非常に好きな曲なので、1回の演奏会で2パターン演奏しても良いくらいです。大歓喜で聴きます。

あと、さらに個人的な感想を言えば、今回の演奏会で気付いたことなのですが、自分はオートマタよりレプリカントの方が好みかもしれません。
ゲームプレイのしやすさは断然オートマタに軍配が上がるのですが、曲やシナリオはレプリカントの方が好きかも。
今回の演奏会では、レプリカントの方が感情の昂ぶりが強かったような気がします。
もっとも、思い出補正が強くかかっている可能性があるので、改めて聴き直したら評価が変わるかもしれませんが。

■曲間の泣ける朗読劇
演奏会中、曲間に時々朗読劇が挟まれました。

第1部レプリカントパートは、門脇舞以さん演じるエミール登場。
レプリカントで描かれた旅路を回想する、切ない物語でした。
第1部トリの直前で入ったエミールの慟哭は、思わず号泣してしまいそうになったくらい。
声優さんって、すごい。

なお、朗読劇の内容からするに、ゲシュタルトではなくレプリカントがベースっぽかったです。
日本では、レプリカントの方が圧倒的に認知度高いからでしょうか。

第2部オートマタパートは、石川由衣さん演じる2B登場。
こちらもオートマタで描かれた戦いの数々を回想するような、切ない物語でした。
ニーアって、本当に切なくて容赦ない物語が多くて罪深い、と思わされるような内容でした。

そういえば、この朗読劇、シナリオは誰が考えられたのだろう。
やはりヨコオタロウさんでしょうか?

朗読劇ではありませんが、開演前、休憩中、終演後にカゲアナがありました。
開演前はエミール、休憩中は2B、終演後は2Bとエミールの掛け合いが楽しめました。
休憩中の2Bのアナウンスはあっさりしていて、「以上」で終わっても終わったように感じられなくて、そこがまた2Bらしいと思いました。

それよりも、終演後カゲアナの2Bとエミールが可愛すぎた件について。
エミールが物販案内の後「スクエニの偉い人にそう言えって言われた!(誇らしげ)」とか。
その後の、2B「(やや優しい声色で)終わり?」→エミール「終わりです!」とか。
なにこれ、可愛過ぎかよ。ただでさえ感動で感情が平静ではなかったのに、最後の最後にこれとか鼻血吹くかと思いました。
正直、このカゲアナのためだけに、円盤買ってもいいと思ったくらい、可愛過ぎました。

円盤と言えば、今回の演奏会の模様を収めた円盤が、近いうちに出るのではないかと思います。
ニコ生配信の無い昼公演なのにカメラが何台も入っていたし、デカいクレーンまで投入していたので。

■程良い情報量の映像演出
今回の演奏会も、公式オケコンらしく、映像がたっぷりとありました。
といっても、インスピレーションを刺激するような、静止画を組み合わせて動画に仕立てたような、抽象的なものがほとんどでした。
プレイ動画的なものは、なかったわけではないけれど、数が少なかったです。
個人的には抽象的で情報量の少ない映像の方が、視覚に過剰なリソースを割いて聴覚が疎かになるのを避けられるので、都合が良かったりします。
そういう点では、今回の演奏会の映像はとても程良い感じでした。

特に印象に残った映像は「夏ノ雪」と「顕現シタ異物」。
現在の東京(?)のビル群の風景をスライド表示しただけのものなのに、グサグサと胸に突き刺さってくるようでした。
ただのビル群なのに、それだけで泣けてくる不思議。だけど、ニーアならば仕方ありません。もう条件反射です。
ニーアと東京タワーの組み合わせはDoDの新宿エンドしか出てきませんし、原点だから仕方ないです。

それと、「イニシエノウタ」か「光ノ風吹ク丘」か忘れてしまったのですが、くすんだ青空をひたすら映した映像も印象的でした。
彩度の低い色褪せたグラフィックが、ニーアらしいというか。

風景やゲーム内スチルだけでなく、テキストを表示するタイプの映像も、結構あったように思います。
その中でも「終ワリノ音」の映像で描かれたポッド042とポッド153の会話が、とても感動的でした。
ポッドの会話が男前過ぎて泣けました。ポッドさん、めっちゃ格好良い。

映像と言えば、曲名にサブタイトルが付いていたのも特徴かと。
「光ノ風吹ク丘」に「打ち捨てられた、未来風景」と付けられていたのが、言い得て妙で上手いなぁと思いました。
実際、「打ち捨てられた、未来風景」なんてあり得ないと言い切れないところが、またツボでした。

他にもとても良い映像がたくさんあったので、円盤化されたら映像にも注目してほしいです。

■その他、印象に残った雑多なこと
物販、予想していたこととはいえ、エグかったです。
8:30頃に待機列に並んだのですが、終わってみたら11:00過ぎ。
ついでだからとパンフレット以外にもいろいろ購入したのですが、正直パンフレット以外は事後通販でもいいかというくらいの優先度だったので、パンフレット専用レジが欲しかったです。
と思ったら、後でホール内でパンフレットのみの販売口があったことを知ったのですが、それならそうと早く言ってほしかったです。

他のイベントでも思うのですが、物販ってどうにかスムーズにできないものなのでしょうか。
先着〇名分に限り事前注文を受け付けて、注文番号に合わせたセットをあらかじめ組んでおいて、当日それを手渡すだけにする、とか。
搬入とか手間になるから、たいへんなのかな。
あと、レジの計算が電卓なのが古いというか。
バーコード読み取りにすればミス軽減も時間短縮も図れるのではないかとも思いました。

パシフィコ横浜には久しぶりに足を運んだのですが、こんなにステージの見難い席配置だったっけ?と思ったくらい、ステージが見えませんでした。
2階席だったのでステージを見下ろす形だったのですが、前方の席の人の頭で指揮台付近が隠れてしまい、そのへんだけ全然見えませんでした。
そのため、本編の前後に指揮台付近で岡部啓一氏や門脇さん、石川さんが登場されても全然見えなかったのは、少々残念でした。
「今日は、演奏を聴きに来たんだ」と自分に言い聞かせて心を静めましたが、パシフィコ横浜は早急に改善してほしいです。

あとは、もう、演奏が破壊的にめちゃくちゃ良かったとしか言いようがないです。
「魔王」は涙腺崩壊してもなお涙無くしては聴けないし、「カイネ」は弱さと強さと優しが渾然一体となった問答無用の名曲だし、「追悼」の荘厳さはまるで宗教音楽だし。
生演奏の迫力、半端なかったです。

■感想まとめ
ニーアの初公式オケコンでしたが、生演奏の凄さを問答無用で実感させられた、とても迫力のある素晴らしい演奏会でした。
曲の良さとゲームの良さに加え、オーケストラと合唱の生演奏ならではの良さが存分に発揮されて、感情を揺さぶられまくりました。
その感情の揺さぶられ方が思い出の一つになるくらい、とても楽しいオーケストラコンサートでした。
ぜひ、10周年記念となる2020年にも開催してほしいです。
いっそ、2019年、2020年と、毎年開催してほしいです。


これより下の追記は、今回の演奏会のプログラムになります。
先述の通り、アレンジがほぼOchestral Arrangementと同じだったので、今回は曲ごとの感想を割愛します。

[GMEV] Froschritter Orchestra Symphonnic Concert

9月16日(日)に、「クロノ・トリガー」の楽曲をオーケストラで演奏するために結成された有志の楽団「Froschritter Orchestra」(フロッシュリッターオーケストラ、以下、風呂桶)の演奏会が開催されたので、行ってきました。
会場は、大田区民ホール・アプリコ 大ホール。
14:30に開演し、17:10頃に終演しました。

■クロノ・トリガー好きによるクロノ・トリガー好きのためのクロノ・トリガー演奏会
「クロノ・トリガー」がSFCで発売されたのは1995年のこと。
あれから23年の時を経て、「クロノ・トリガー」オンリーの演奏会が、有志の手によって実現しました。
自分の知る限りでは、「クロノ・トリガー」オンリーは、昨年のリトルジャックオーケストラの定演ぐらい。
アラカルト的な演奏会では数多の楽団で何度も取り上げられているほどの人気を誇るものの、オンリー演奏会はあまり例がありません。

クロノ・トリガーは、SFC版クリア済みです。
発売当初は敬遠していたのですが(実は昔から鳥山明氏の絵のタッチが少々苦手で、「クロノ・トリガー」でも無意識の拒否反応が強かった)、「ゲームプレイ中はステータス画面以外でキャラ絵をほとんど目にしないから。面白いからやってみ?っていうか、やれ」と友人に説得されて渋々プレイし始めたらものすごく面白くて、気が付いたらエンディングコンプしてOSTまでゲットしてました。
そんなわけで、「クロノ・トリガー」はゲームも音楽もとても好きなので、今回の演奏会を逃す手はありませんでした。

とはいえ、某RPGの10周年記念イベントと丸被りしたと分かったときには、「風呂桶の後、急ぎ移動すれば夜公演にはギリ間に合うか・・・しかし、体力持つかな・・・?」と迷いもしました。
が、裏の方はチケットゲットできなかった(カスリもしなかった)ので、むしろ綺麗さっぱり心置きなく風呂桶に行くことができました。

演奏会が終わった今にして思えば、風呂桶一本に絞って正解だったと思います。

演奏会、めっちゃ良かったのです。
めちゃくちゃ良かったのです。
大事なことだから、何度でも言いますよ。
半端ない余韻に、帰路どころから帰宅してからもしばらく揺さぶられ続けたぐらい良かったのです。
こんな余韻どっぷりな状態で別イベントに直行なんて、そもそも気持ちの切り替えが無理ゲーレベルです。

もう、本っ当に良かった。
「クロノ・トリガー」が好きで良かったと心底思ったくらい、良かったです。

■素晴らしくて素敵で格好良くて感動的な演奏
大事なこととはいえ、さっきから「良かった」しか言ってないような気がするので、もうちょっと冷静になって感想を書きます。
よし、少し落ち着け俺。

まず、演奏がものすごく上手でした。
初っ端からアンコールまで、徹頭徹尾でハイレベルでした。
最初の一曲や休憩明けの一曲がヘロヘロになることは、有志による企画オケではよくあることなのですが、今回それがありませんでした。
最初から最後まで非常に高い完成度を維持し続けて、見事に走り切りました。
その点は、有志による企画オケとは思えないほどのクオリティの高さでした。
自分がこれまでに鑑賞したことのある企画オケの中でも、最高レベルだと思います。

その上、演奏者全員が「クロノ・トリガー」好きのため、ステージ上から発せられる熱量が膨大でした。
「クロノ・トリガーが好きだ!」オーラが全開で、「この演奏会を絶対に成功させてみせる!」という意気込みをひしひしを感じました。
その熱量に同調するかのように、自分の中の「クロノ・トリガー」熱が再燃していくのを感じました。
最終的には、興奮のあまり、冷静に鑑賞なんてできなくなったくらいです。

確かに、途中音が外れたり、出番ではないところでうっかり音が出てしまったりと、有志オケらしいミスもありました。
が、そんな些細なミスがどうでもよくなるくらい、その他の演奏が素晴らしかったし、素敵だったし、格好良くて感動的でした。

■ゲームの内容に沿って、ほぼ全曲演奏
演奏会全体の曲構成は、ゲームのシナリオに沿った形で為されていました。
現代のガルディア王国千年祭に始まり、中世から未来、原始、古代まで、時空を超えた険しくも勇敢な旅路が、2時間半に凝縮されて描かれました。

正確に言えば、ゲームのシナリオに沿ってOST収録曲を散りばめた、という感じです。
物語を描く上で重要なキーとなる曲は、本編中に2回登場することもありましたが、ほとんどは1回だけ。
その分、OSTに収録された曲はほぼ網羅的に演奏されました。
その徹底っぷりからもまた「クロノ・トリガー」に対する情熱を感じられて、好印象です。

今回の演奏会のプログラムになかった曲は、SFC版においてゲーム未収録だった曲と、「ファンファーレ」のようなジングル曲。
SFC版OST収録の64曲中、56曲(アンコール含む)演奏されたので、ほぼ全曲と言えると思います。
なお、ジングルに関しては、パンフレットに記載されていないだけで、曲の中にしれっと紛れていたような気がするので、実際に演奏された曲はもうちょっと多いです。

というわけで、隠れた名曲「歌う山」は、今回演奏されませんでした。
その点は個人的には少々残念なところですが、まぁ、(SFC版では)ゲーム未収録なので仕方ありません。
次回、また演奏会があれば、アンコールでも良いのでぜひ演奏してほしいです。
風呂桶の「歌う山」を聴いてみたいので、期待しています。

■音で描く壮大な物語
編曲は、原曲+αな感じでした。
原曲を軸にしつつ、より物語性を際立たせたような感じというか。
ゲームを盛り上げるただのるBGMではなく、音で「クロノ・トリガー」の物語を描くような感じです。
そのため、適度にアレンジが加わっていました。
曲によっては、原曲破壊レベルに近かったりもしました。

そのアレンジ具合が、上述のリトルジャックオーケストラの「クロノ・トリガー」オンリー定演との大きな違いかも。
リトルジャックは原曲を忠実に再現する方針でしたが、こちらの風呂桶は物語を描く上で必要なアレンジを追加。
そこで差別化が図られたように感じました。

原曲再現と原曲破壊、どちらが良いとかありません。好みの問題だと思います。
ちなみに、自分は雑食なので、原曲再現でもアレンジが入っても、どちらも美味しくモグモグします。
原曲破壊は解釈が異なると悲劇的ですが、ピタッとハマると沼なので、そういう意味では当たり外れが大きく挑戦的な試みと思っています。
また、原曲にアレンジが入ると編曲者さんの想いや解釈が見えてくるので、「ほー、編曲者さんはこういう解釈なのか!」とか「お、そういう捉え方もあるのか!」とか、自分には見えなかった新しい発見を教えてくれるので、それはそれで面白みがあって好物です。

アレンジの強度は、序盤はわりと原曲に忠実な感じでしたが、曲が進むにつれて増加。
中世の山場とラストバトルは、特にアレンジが強かったです。
というか、どちらも大澤久氏のアレンジなのですが、大澤氏のアレンジはいつも考察要素がものすごく深くて、想像力をいい感じに刺激されるのが、なんかこう、好きなんです。
ゲームで描かれなかった部分まで描いてくれる面白さは、感覚的には2次創作の同人誌で深い解釈の物語に出会ったときに感じる面白さに近いです。
今回も、演奏の迫力も相まってとても楽しめました。

他の方のアレンジも、感情を大きく揺さぶる”何か”が感じられて、それが心地良かったです。
違和感は全くなくて、ストンと心に入り込んできてガーッと揺さぶられた気がします。
未来も、原始も、古代も、どの時代の曲もそれぞれにドラマが感じられて、演奏中はずっとハラハラとドキドキとワクワクと、あとはたぎる思いでいっぱいでした。

■随所で大活躍のコーラス隊とパーカス隊
今回の演奏会で、様々なシーンで大活躍していたのは、コーラス隊だったと思います。
合唱だけでなく、ガヤの声や「ハッ!」のような掛け声、ハンドクラップまで、場を盛り上げるためにあちこちで活躍していました。
最初のメドレーの時点で「どこまで多芸なの!?」と思ったくらいの活躍っぷり。
このコーラス隊なくして、今回の演奏会の盛り上がりはなかったのではないでしょうか・・・は、言い過ぎかな。

それと、コーラス隊と同様になくてはならない存在だったのが、パーカッション。
原始時代の曲で一躍脚光を浴び、それ以降は最後までずっと存在感が半端なかったです。
コンガやボンゴがあちこちで使われていて、強い印象を残していくのが、見事というか鮮やかでした。

パーカスに限らず全てのパートに共通して言えることですが、一生懸命なのはもちろんのこと、それでいて楽しそうだったのも印象的でした。
本当に「クロノ・トリガー」が好きな人たちが集まっているんだなぁ、と、演奏会中ずっと感じました。

■可能な限りのペーパーレス化
今回の風呂桶の演奏会は、無料の電子チケット配布による予約制(+座席自由)という方式が取られました。
電子チケット自体は別の楽団でも試行されているので初めての経験ではないのですが、意外と入場はスムーズでした。
QRコードの認識に多少もたつきがあるものの、紙チケットの場合に発生するチケットの公演名・日時などの確認は機械が自動判定してくれるので、体感的には紙チケットとあまり変わらなかったです。
一度もたつくと滞留時間が長くなる点は今後の技術進歩で解消されるでしょうし、今後、もっと電子チケットが普及しそうです。
気になるのは、紙チケットの紛失リスクと、電子チケット紛失(メールを紛失して電子チケットまで辿り着けなくなった、など)リスク、どちらが高いか、というところくらいでしょうか。

あと、電子チケットが普及すると、特殊デザインの紙チケットがなくなるのは、それはそれで寂しいような気もします。
特別なものは物理で持っていたい心理のアレです。

電子化と言えば、アンケートも完全ペーパーレスでした。
紙のアンケート用紙はなく、あるのはQRコードを大きく印刷した紙一枚のみ。
紙のアンケート用紙にQRコードを併記したパターンはよく見かけますが、紙全廃は初めての経験かもしれません。

そのうち、パンフレットも物理ではなくデジタルで配布されるようになって、スマホやタブレットで見る時代になるのかな。
とも考えたりしましたが、そうなるとマナー上開演中見られなくなるから、パンフレットはまだしばらく物理で残りそう。

■感想まとめ
正直、まだ感想を言い足りてない気がしますが、うまく言葉にならなくて「良かった」「すごかった」しか出てこないような予感もするので、この辺で一旦〆ます。
風呂桶の演奏会、ものすごく良かったです。すごかったです。
ほぼ「クロノ・トリガー」好きしかいない空間で、上質な「クロノ・トリガー」の曲を目いっぱい楽しむことができて、めちゃくちゃ幸せでした。
幸せと感動で、終演してからしばらく身体の震えが止まらなかったくらいです。
半端ない熱量に当てられて、半端ない疲労感がありますが、それが心地良い疲労感で、それ以上に興奮と幸福が勝っています。
とても良い演奏を堪能しました。
演奏者の方々、スタッフの方々へ、素晴らしい演奏会をありがとうございました。


これより下の追記は、今回の演奏会のプログラムと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[ゲームRev] 最悪なる災厄人間に捧ぐ

PS4で発売されたテキスト型ADV「最悪なる災厄人間に捧ぐ」(以下、さささぐ)をトロフィーコンプリートしました。

ケムコ作品をプレイしたのは、本作が初です。
スマホゲームで会社名を度々目にしていたためか、「オーソドックスな買い切りタイプのゲームを低価格でスピードリリースするゲーム会社」というイメージがありますが、これまで琴線に触れる作品があまりなくて、一作もプレイしたことがありませんでした。

それなのに、本作に限ってプレイしてみようと思った理由は、直感とタイミング。
ファーストコンタクトは、発売直前にファミ通.comに掲載された作品レビューでした。
そこで知った世界観やシナリオから「これは、俺に合う作品なんじゃないか?」と興味を持ち、価格の安さ(DL版で3,000円)に「これなら即決でも買えそう」と皮算用しつつ、ちょうどがっつりしたシナリオのテキスト型ADVをやりたい気分だったことも重なって、あとはもうPS Storeで「購入」ボタンをポチるまで一直線でした。
そんなわけで、プレイしてみた次第です。

ゲームスタイルは、オーソドックスなテキスト型ADV。
テキストを読み進めつつ、途中で出てくる選択肢を選んで、条件次第でシナリオ分岐、という感じです。
マルチエンディング形式ですが、シナリオ分岐のフラグ管理が単純なので、それほど苦労せず、色々なエンディングにたどり着けます。
ある1つのエンディングだけやや解りにくかったですが、他はそうでもなく。
といっても、その”あるエンディング”だって、ゲームにある程度慣れていないと「どこだ?」ってなるかもしれませんが、テキストADVの勘所を掴んでいる人であればすんなりたどり着ける程度です。

そんな感じなので、自力トロコンが容易でした。
というか、今回は珍しく自力でコロコンしました。

ゲーム画面をパッと見た感じではあたかもギャルゲーのようですが、実際にプレイしてみたらギャルゲー要素はほぼありませんでした。
なにしろ、ヒロインは(一応)1人しかいないので、選択の余地がありません。

で、シナリオについてですが、個人的にはとても面白かったです。
ネタバレにならない程度に話のあらすじを記すと、「人の姿が見えない&人の声が聞こえない状態になってしまった主人公・豹馬が、他人から認識されなくなってしまった透明人間の少女・クロと出会い、協力し合いながらともに苦難を乗り越えていく」という感じ。
これだけならほのぼのしてそうに思えますが、開けてびっくり、結構シビアでした。
豹馬やクロのハンディキャップが想像以上に重くて、中途半端な豹馬はもとより、完全な透明人間のクロを通じて「透明人間って、こういうデメリットがあるのか」と突き付けられた気分です。
これまでいくつかのフィクションで見てきた「透明人間」って、誰にも気付かれずに潜入できたりのぞき見できたりなど、メリットを生かしたものが多かったので、それらとは真逆の負の側面を強調しているのが斬新に感じられました。

また、豹馬とクロのバックボーンもかなり重いです。
ネタバレに触れそうなのであまり深く語れないのがもどかしいのですが、「これはツラい・・・」と絶句するようなシーンがいくつかあります。
そんな数々の苦難に立ち向かっていく豹馬とクロが、最終的にはとても格好良かったです。
特に中盤以降の怒涛の展開は、記憶を消してもう一度やり直したいくらいです。

なお、シナリオ上、多少の残酷シーンが含まれるので、そのへんはちょっと注意が必要かもしれません。
と言っても、それほどあからさまな表現ではないけれど。

世界観については、なぜ透明人間になってしまったのか、クロがいきなり5人に増えたのはどうしてか、など、世界のルールに若干のこじ付けを感じるのは否めません。
が、大体「そういうもんか」で納得できました。
低価格ゲームなので、そこまでがっつりした世界観を求めるのはヤボというものです。
そんなことより、豹馬とクロの切なくも奮闘する姿を応援するゲームだと思いました。

テキスト量は、めちゃくちゃ膨大です。
正直、舐めていました。
価格が安いから大した量ではないだろうと高をくくっていたのですが、とんでもなかったです。
価格以上のテキスト量です。
ストーリーは面白いし、ボリュームたっぷりだし、この作品、コスパが良過ぎます。

テキスト量が膨大な代わりに、演出面はやや弱い感じがしました。
が、これに関しては、世界観の設定の勝利なのではないかと思います。
基本的に主人公・豹馬の視点で描かれる本作。
人の姿が見えない、人の声が聞こえない豹馬にとって、唯一クロだけは姿と声を認識できる。
つまり、クロの声と絵の素材さえあれば、大半はそれで十分。
下世話な話だけど、そこでコストが抑えられたことで低価格リリースが可能だったのではないかと。
そういう意味で、世界観の設定の勝利だと思いました。

ちなみに、収録されたボイスと絵の9割はクロが占めているんじゃないか、というくらい、クロ大活躍です。
クロの表情差分などのバリエーションは、ものすごく豊富です。
そんなにあるのかよ、というくらい豊富です。

演出と言えば、色の使い方の工夫が上手いと思いました。
詳しくは言えないけれど、メッセージ枠の色の使い方に一工夫あって、それがとても面白い使い方でした。
また、それが中盤以降で重要になってくるのも、良い演出でした。

一風変わった”透明人間”たちの織り成す、重厚な人間ドラマが描かれた本作。
とてもボリューム感たっぷりで、最後まで楽しめた作品でした。
完全新作の割に安価だったのであまり期待せずプレイしましたが、価格以上の面白さで、良い意味で裏切られました。
小難しい操作は必要ないので、手ごろな価格で手軽に重厚なシナリオを楽しみたい方にオススメです。

これを言わないと追われないので、最後に一言。
うちのクロが一番可愛い。可愛いは最強。正義であり、最強。