[GMEV] Orchestre de l'Étincelle 演奏会

7月14日に、聖剣伝説Legend of MANA(以下、LOM)の楽曲を演奏する有志オケ Orchestre de l'Étincelle(オルケストル・ド・レタンセル、以下「煌オケ」)の演奏会が開催されたので、行ってきました。
会場は、ルネこだいら 大ホール。
13:30に開演し、16:00頃に終演しました。

■聖剣LOMの新たな企画有志オケ、ここに爆誕
今回の煌オケ演奏会の話を一番最初に耳にしたとき、まず真っ先に思い浮かんだのは「2017年に『ファ・ディール室内管弦楽団』の演奏会が開催されたばかりじゃね?」でした。
人気のある作品だからとはいえ、こんなにも間髪空けずにまたLOMオンリーの演奏会が開催されるとは、露ほども考えていなかったのです。
なので、嬉しい反面、若干の戸惑いもありました。

とはいえ、煌オケはファ・ディールとは全くの別企画の模様。
コンサートホールで開催されるクラシカルスタイルな演奏会という点は同じですが、編成がやや異なります。
ファ・ディールの方はオーケストラからホルン以外の金管楽器を抜いたような編成でしたが、煌オケの方はフルオケ編成。
また、ファ・ディールはパイプオルガンとコーラスがありましたが、煌オケはそれがない代わりにバンド楽器(エレキギター、エレキベース、ドラム、など)が追加されていました。

冷静になって考えてみたら、煌オケの演奏会は、間を置く暇もなくオンリープログラムの演奏会を企画・開催したくなるくらい、LOMには絶大な人気がある、ということの証左とも受け止められます。
何にせよ、LOMのゲームも楽曲も好きな身としては、素直になってみれば嬉しさしか残りませんでした。

■これでもかっ!と言わんばかりに詰め込まれた楽曲の数々
今回の演奏会で披露された楽曲は、本編で43曲。アンコールも含めると48曲になりました。
OSTの収録曲数が55曲なので、ほぼほぼ全部演奏されたようなものです。
今回演奏されなかった曲は、オルガン絡みの曲やジングルなどの小品が数曲。
「この曲を生演奏で聴きたい!」という要望の99%は今回叶えられたのではないか、と思えるほどのカバー率の高さです。

そんな膨大な数の楽曲が、全3部構成で披露されました。
LOMの三大クエストである宝石泥棒編、妖精編(エスカデ編)、ドラゴンキラー編の各固有曲は、それぞれ各部の主軸として配置され。
さらに、それらを他のサブクエストとマナの聖域編関連曲でサンドイッチにしたような構成でした。

三大クエストの中で一番人気の高そうな宝石泥棒編が初っ端の第1部に組み込まれていたのが、個人的には意外に感じられました。
楽団名の由来に一番近いクエストなので、満を持して第3部で登場すると予想していたので。
でも、今回の構成を俯瞰して見たら、第1部に持ってきたのは正解のようにも思えてきました。奏者の残HP的な意味でも。

■無理はしないけれどハイレベルな演奏
演奏は、ものすごく上手でした。
最近の有志企画オケの演奏会はどれも、とても有志の集まりとは思えないほどにレベルが高いのですが、煌オケもその例に漏れずハイレベル。
まぁ、音が多少ブレたり、明らかに運指をミスっていたりと、完璧ではありませんでしたが。
でも、完成度がかなり高く、安心して演奏に浸りながら聴いていられるレベルでした。

そういえば、アマチュア楽団や有志オケではよくヘロヘロになりやすい弱音が、今回の演奏会では少なかったように感じました。
そのあたり、弱音が必要にならないように編曲で上手い具合にカバーしたのでしょうか。
そのこともあって、完成度が高く感じられたのかもしれません。
編曲と演奏による合体技ですね。

それと、特に長音で顕著だったのですが、音がすごく真っ直ぐな印象を受けました。
なんというか、変に情感が乗っていなくて、その分、余計な雑味が少ないというか。あっさりしていて、若々しく、フレッシュな音色というか。
上手く言い表せる自信がないのですが、ゲームのストーリーや世界観を音で表現する目的で高度なテクニックに無理に手を伸ばした結果盛大にミスするよりも、まず自分たちの手の届く範囲で曲の完成度を高めるためのことに注力した、と言えば伝わるでしょうか。
無理はしない、でも出来ることは精一杯やる、という気概のようなもの。
それと、原作のゲームは当然大事だけど、とにかく純粋にLOMの楽曲が好きだから演奏したい、という強い想いが、奏でられた音の中に見えました。

■編曲が素晴らし過ぎでした(語彙力喪失
編曲は、原曲重視でありつつ、しかし演奏しやすい形に再構築されたような印象を受けました。
原曲の雰囲気は多分に残しつつも、”無理はしない”の精神で、難しいフレーズがあれば解体して間引いて構成し直しているような、そんな感じ。
原曲と演奏の両方にかなり気を使って編曲されていたように見受けられました。

今回の編曲、ピンポイントにお名前をあげるなら、今村愛紀さんの編曲がどれも自分の好みにドストライクでした。
三大シナリオとマナの聖域編という超重要曲の編曲を一手に担当されていた方なのですが、これがどれも自分のツボ突きまくり。
原曲を重視しつつも、ゲームのストーリーも加味されて練り上げられた展開。
盛り上げるところは大いに盛り上げて、抑えるところは絶妙に抑えて。
しかも、イントロからアウトロまで、妥協無しに綺麗にまとめられていて、本当に見事でした。
それが完成度の高い演奏とタッグを組んだら、もはや感動しか残りません。
そんな音の流れに、ひたすら感情を揺さぶり続けられたような気がします。

特に「愚かなる宝愛」のオーケストレーションは、脱帽ものでした。
身震いと感動のため息しか出てこなかったです。
なんか、とんでもなくすごいものを鑑賞した気分になりました。本当にすごかったです。

■演奏とは関係ないその他諸々
最近の無料演奏会で気になっている観客マナーは、今回あまり気にならなかったです。
比較的平和と一部で噂されている2階席だったからかもしれませんが、ずっとヘドバンするとか、演奏中に会話するとかは、自分の周りではありませんでした。
まぁ、演奏中にパンフレットやカバンでガサゴソ音を立てるとか、物を落とすとか、スマホの着信音鳴らすとかは、ありましたけど。
気になったのは、第2部から来られて前の座席に座った方が、背もたれに背を付けずに前屈みのまま鑑賞しようとしていた点ぐらい。
被害を食らったことがないと理解されないと思うけれど、前傾姿勢で鑑賞されると、すぐ後ろの座席からはステージが見えなくなるので、結構切実に止めて欲しいことの一つです。
まぁ、今回は隣の席が空いていたので、演奏が始まる直前に席移動して危機回避しましたが。

それ以外は、実に快適に鑑賞できました。
2階席はステージ全体が見渡せるし、思っていた以上に鑑賞する上での好条件が揃っているかも。今度から2階席を狙おう。

あと、雨にもかかわらず、さらに「開場前の来場は控えてください」とTwitterで呟いていたにもかかわらず、開場前から大勢の観客が並んでいて、スタッフさんがとてもたいへんそうでした。
チケット不要制だったから気が急いていたのか、自分も開場の15分前に会場に着いて「やっべ、早く着き過ぎた」と申し訳なく思ったのですが、スタッフさんが手際よく待機列を整えられていて助かりました。
けど、なんか本当に申し訳ありませんでした。

そういえば、事前に拍手のタイミングについてアナウンスがあったのは、すごく助かりました。
ゲーム音楽の演奏会では、曲と曲に切れ目があっても実は一繋がりだったりして、拍手のタイミングに困ることが多々あるので。
まぁ、そのおかげで、拍手したいのにできないというジレンマに駆られたりもしましたが。

■感想まとめ
有志によるフルオケ編成のオールLOMプログラムの演奏会でしたが、すこぶる楽しかったです。
大好きなLOMの楽曲をたっぷり聴けて、しかも妙技の光る編曲と手堅い演奏で奏でられた旋律が心を揺さぶるほどに熱くて心地良くて、終演時の心の中は満足感で満たされました。
とても良い演奏会でした。演奏者のみなさん、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました。


これより下の追記は、今回の演奏会のプログラムと印象に残ったメドレーの感想になります。



プログラムは次の通りです。
-----
[第1部] 序奏と宝石泥棒編
1-1. オープニング
Legend of MANA ~Title Theme~/Song of MANA ~Opening Theme~
1-2. 小さな魔法使い、ニキータ商い道中、まいごのプリンセス
World of Mana/ホームタウン ドミナ/Bedight Orbit/旅人たちの道/彩りの大地/Pain the Universe
1-3. 波間に眠る追憶、幸せの四つ葉
港町ポルポタ/魔法都市ジオ
1-4. ティアストーン
蒼い憂鬱/宝石泥棒サンドラ参上!/滅びし煌めきの都市/愚かなる宝愛/涙色した輝きの…

[第2部] サブシナリオと妖精編
2-1. たゆたう歌声
心のある場所/月夜の町ロア/海へ/夢想う遠き日々 ~セイレーンの歌~
2-2. 海賊 VS 穴掘り団
風歌う、その旅路/Digger's Song ~穴掘り団の歌~
2-3. 彷徨の回廊
断崖の町ガト/悠然なる歴世/Marginal Beast/真実の行方
2-4. 上天の光
二つの思惑 ~ルシェイメア~/Irwin on Reflection/真実の彼方

[第3部] ドラゴンキラー編、マナの聖域へ
3-1. 開発メドレー
パストラール/牧場にて/Maker's Galopp/夢見る果実
3-2-1. 群青の守護神
懐かしき歌/重なりゆく運命/駆け行く記憶/The Darkness Nova
3-2-2. 真紅なる竜帝
焔城/真紅なる竜帝/運命の先に待つもの
3-3. マナ
想いは遠くマナの樹に寄せて ~Theme of Mana~/マナの聖域/蒼范の時
3-4. エンディング
Nostalgic Song ~Ending Theme for Mana's Story~

[アンコール]
E-1. 精霊メドレー
不思議な曲/穏やかな曲/悲しい曲/楽しい曲
E-2. Song of MANA ~Ending Theme~
-----

これより下は、印象に残ったメドレーごとの感想になります。

1-2. 小さな魔法使い、ニキータ商い道中、まいごのプリンセス
「Pain the Universe」の冒頭からバリバリに鳴らされたドラムとエレギが、イントロが終わるやサッと抜けて、その瞬間、空気感が変わったのが印象的でした。
イントロ直後からの数小節は弦(とフルート?)主体になり、その展開が始まると同時にイントロの熱がスッと引いて、神聖さや厳粛さが広がったのです。
個人的に強過ぎるドラムやエレギがあまり好みでない、というのも要因の一つだと思うのですが、あの弦主体の数小節の空気感がピンポイントですごく自分のツボにハマりました。

1-3. 波間に眠る追憶、幸せの四つ葉
確か「魔法都市ジオ」だったと思うのですが、1台のシロフォンを2人の奏者で叩いていたシーン。
同じ楽器なのに、マレットが異なるとこんなにも音色が変わるのかと、興味深かったです。
しかも、1台を2人で共有して連打するとか、傍から見てると腕がこんがらがりそうに思えるけれど、実は綺麗に住み分けできているところも、見ていて面白かったです。

1-4. ティアストーン
宝石泥棒編クライマックス。
上述の通り「愚かなる宝愛」のオーケストレーションがとにかく素晴らしかったです。見事でした。脱帽ものです。
パンフレットを開いたときに思い浮かんだ疑問符が、演奏が始まった途端に綺麗さっぱり解消されたくらい、すごかったです。

開演前、入場時に受け取ったパンフレットを確認したところ、プログラムに「愚かなる宝愛」がありつつも、メンバーリストにパイプオルガンがない。
パイプオルガン設置のホールでもないし、マニピュレーターらしきものもない。
そんな状態でどうやって「愚かなる宝愛」を演奏するのか?と、この曲の演奏が始まるまでは、脳内で疑問符が盛大に飛び交っていました。
しかし、いざ演奏が始まってみたら、弦と管による絶妙かつ見事なオーケストレーション。
原曲のパイプオルガンに負けず劣らずの、厳かでありながらどこか狂った雰囲気が、しっかり醸成されていました。
荘厳さを弦が、狂気を金管楽器が表現していて。
パイプオルガンvsオーケストラのような、一致団結の総力戦の様相でした。
ここまで完成度激高なら、もはやこの曲の定番オケ譜面、これで良いのではないでしょうか?
というか、これ何度でも聴きたいです。演奏音源ください。

そんな驚愕の「愚かなる宝愛」に続いた「涙色した輝きの…」は、後半の盛り上がりが良い意味で卑怯なくらい涙腺を刺激してくれました。
ただでさえオーケストラの生演奏というだけで感情揺さぶられまくりなのに、こんなん、ゲームプレイ済みなら誰の瞳も涙色になりますよ、間違いなく。

2-1. たゆたう歌声
「海へ」が鑑賞していてとても楽しかったです。
チェレスタの方も楽しそうに聴いてらしたのが見えて、より一層楽しくなり、ほっこりしました。
そして、この曲が流れると、パリンと壊れるカニしか記憶から出てこなくなるというところまでが定番。

2-2. 海賊 VS 穴掘り団
「Digger's Song」が思いの外格好良かったです。
心持ちアラビアンな雰囲気。
そんな雰囲気の中で轟くドラムと男声の掛け声。
それがとても格好良く聴こえました。
特に、バスドラの迫力には痺れました。
爆音の重低音がとても気持ち良かったです。

2-4. 上天の光
第2部3曲目から間髪空けずに続けての演奏。
「二つの思惑 ~ルシェイメア~」の序盤のシロフォンが、めちゃくちゃ格好良かったです。
というか、第1部からずっとそうだったのですが、シロフォンのお姉さんのバチ捌きが、音的にも絵的にも格好良かったです。
その真骨頂が、この曲で爆発した感じでした。
あれは、すごいです。連打音もすごいし、その動きもすごい。
聴覚と視覚を同時に刺激されて、なんかすごいしか出てこないくらいすごかったです。
しかも、シロフォン連打からの最後のシンバルまでの流れが鮮やかで、その音と動作に思わず見惚れていました。

決戦へ向けて徐々に熱を帯びていくルシェイメアから、一気に音が爆発する「Irwin on Reflection」。
ゲームで描かれる価値観のぶつかり合いが、ここでは音に置き換えて描かれました。
同じ三大クエストのボス戦曲でも、「愚かなる宝愛」は一致団結した総力戦だったけれど、こちらは各楽器の音のガチンコ勝負。
そんな音のぶつかり合いのためか、熱量がすごく強く感じられました。

そんなアーウィン戦に決着が付いてからの「真実の彼方」。
4人の幼馴染の対立の果てのやるせなさが旋律に込められていて、感動しかありません。
終盤の大合奏の「バンッ」というインパクトの後のヴァイオリンソロ、そしてそれに続くフルートの重奏が、泣けて仕方なかったです。
その旋律は、あたかも、ヴァイオリンが取り残されたエスカデ、フルートの重奏がマチルダとアーウィンのようでした。
(ダナエは観測者的立場なので、ここには含まれなかったという勝手なイメージ)

3-1. 開発メドレー
「夢見る果実」の鍵盤打楽器3台の演奏が、目で見ても迫力がありました。
3台とも打鍵タイミングが全く同じなのですが、それが寸分のズレもないほどにタイミングピッタリ。
あまりの一致っぷりに、見ていても楽しかったです。

3-2-2. 真紅なる竜帝
「真紅なる竜帝」は、他の三大シナリオのボス戦曲とは異なり、緩急がとても強いアレンジになっていました。
他の2つのボス戦曲は一気にガーッと押し流す力がありましたが、「真紅なる竜帝」はそうではなく、出すところは出して抑えるところは抑えるという強弱が、短いスパンで何回も繰り返されていました。
ある意味、正統派オケバトル曲でした。

「運命の先に待つもの」は、これが今回の演奏会の本編ラスト曲でも良いのではないか、と思わずにはいられなかったくらい、クライマックス感が半端なかったです。
あまりの圧倒的なクライマックス感に、一つのゲームをクリアしてエンディング曲を聴いているような気分になりました。
この曲の演奏が終わった後、拍手できないのがとてももどかしかったです。
ものすごいクライマックス感故に拍手したいのに、まだ第3部の途中だからできないジレンマ。なんという拷問か。ぐぬぬ。

3-3. マナ
「蒼范の時」のオーケストレーションが、とても巧みでした。
あのカオスな原曲を、一度徹底的に分解して、演奏しやすいように、でも元のカオスな雰囲気は壊さないように、すごく丁寧に再構築したような印象を受けました。
なんかこう、縦割りを強くして、音の出のタイミングを合わせやすくしたような。
そのおかげか、演奏の完成度もとても高かったです。

3-4. エンディング
本編ラスト曲。ここで涙腺崩壊しました。
曲の開始はチェロのソロ。
それに続いたのは、ヴァイオリン三重奏。
そんな感じで曲が進むごとに奏でる楽器が少しずつ増えていきました。
その様はまるで、細切れ状態だった世界が、本来あるべき姿へと徐々に戻っていくようで。
そのイメージが頭の中にふっと浮かんだら、一気に涙腺が崩壊していました。
最後の全員合奏は、涙無しでは聴けませんでした。

E-2. Song of MANA ~Ending Theme~
オーラスと言えば、やはりこの曲。
ただし、コーラスはないので、主旋律も全て器楽演奏です。

今回のこの曲については、終わり方が絶妙というか卑怯というか「そうきたかっ!」というか。
これもまた、感嘆のため息しか出てこない秀逸さでした。
終曲部、原曲ではフェードアウトするループ部分。
演奏の終わったパートから、奏者が捌けていくという演出が為されました。
最初は金管楽器、次に木管・・・と、1パートずつ、少しずつ確実にどんどん舞台から去っていきます。
それはまるで、草人たちが解き放たれて世界各地へと旅立っていく様のようで。
ギリギリまで残っていたアコースティックギターが抜け、指揮者が抜け、最後まで残ったのはピアノ。
その一音が終わって奏者が去ったときのあの感動は、しばらく忘れられないと思います。
この奏者退場は、ゲームに準えつつも綺麗で鮮やかで、本当に見事でした。

最初から最後まで、こんなにも感動的で素晴らしい演奏会を、ありがとうございました。

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