新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団の演奏会
「NJBP Live! #6 時空ノ楽士 IN 憤強渋幾」が10月9日と16日に開催されました。
そのうち、9日の公演に行ってきましたので、その感想を記しておきます。
会場は、文京シビックホール 小ホール。
開演は19:00、終演は21:15頃でした。
9日の演奏会で思わぬシークレット曲があったりしたので、「これは、16日の演奏会が終わるまでまでうっかりしたことは言えないな」と考え、16日の演奏会が終わるまでずっと黙ってました。
16日が過ぎたので、ようやく思いの丈をぶちまけられます。
演奏会の構成は、NJBP Live!では恒例の、演奏とゲストトークのサンドイッチ。
演奏会全体の比率として、演奏半分トーク半分という感じです。
他の演奏会に比べてトークの比率がかなり高くてめちゃくちゃ濃いのが、NJBP Live!の特徴の一つかと。
真面目で素晴らしい演奏とは正反対のゆる~いぶっちゃけトーク、その緩急がこの演奏会の魅力でもあります。
今回は、第一部も第二部もともにオール時田貴司氏特集。
時田氏特集と言っても、そこはNJBP、選曲が非常にマニアックでした。
第一部で演奏された曲のうち、FF4はかなりメジャー。LIVE A LIVEもそこそこ聴きます。魔界塔士Sa・Gaも何度か生演奏を聴いたことがあります。半熟英雄もどこかの楽団が演奏していたような。
そんな中、ナナシ ノ ゲエムは完全にノーマークでした。
というか、あえてそこを拾ってくるのかと思いました。
さすがはNJBP Live!。恐るべし。
演奏会のメインとなる第二部も、これまでどの演奏会でも聴いたことのない曲。
「光の4戦士」の楽曲の演奏は、この演奏会が世界初だそうです。
マニアックな選曲はNJBP Live!の特徴の一つだと思うので、今後もメジャー・マイナー問わず演奏してほしいところです。
自分にとっては思わぬ良曲に出会える貴重な機会なので、おそらく編曲がたいへんでしょうが、今の姿勢を貫いていってほしいです。
演奏の編成はいつも通りで、十数人ほどの中規模な管弦楽+ピアノ。
曲によって編成が変わる人も入れ替わるところも、いつも通りでした。
ただ、演奏そのものの方は、今回なんだかあんまりグッとくるものが感じられませんでした。
全体的に緩急が少なくて、演奏がなんとなく平坦な感じ。
それと、ある楽器のフレーズが先走っていたり、音のバランスががたっと不安定になったりすることが多くて、鑑賞していてヒヤヒヤすることも多かったです。
トークフェーズでは、ゲームクリエイターの時田貴司氏が第一部からゲストとして登壇。
第二部では、スペシャルゲストとして作曲家の水田直志氏も登壇されていました。
時田氏がとにかくノリが良くてサービス精神旺盛なところは驚きました。
初っ端からラ○ガーの仮面被って登場してくるし、シークレット曲を熱唱しちゃうし、結構やりたい放題。
過去に2回、NJBP Live!に足を運んだことがありますが、ここまでノリノリなゲストは初めてかと。
いいぞ、もっとやれ。
ゲストトークは、相変わらず濃い内容でした。
ゲーム制作当時の現場の様子や制作裏話がぽんぽん出てくるわ、「それ話しちゃっていいの?」というようなネタも出てくるわ。
あまり細かく記録に残すのは憚られるようなネタが、ポンポン出てきていたような気がします。
また、ゲーム制作に対する姿勢やゲームに込められた想いは興味深かったです。
第二部から登壇された水田直志氏が、スクエニの前はカプコンに在籍していて、同じくカプコンからスクウェアに移籍された下村陽子氏の後を追うようにゲームに関わられている、という話は初めて知りました。
カプコン時代に「ストリートファイター ゼロ」を担当し(下村氏はスト2を担当)、その後スクエニに移籍してから「パラサイト・イヴ2」を担当し(下村氏は1を担当)。
そういえば、今回の演奏会も後を追いかけているようなものですね。
この演奏会の数時間前に、文京シビックホールの近くにある別のホールで、下村陽子氏のバースデイコンサートがありましたし。
そんなわけで、演奏自体にはやや引っ掛かりがあったものの、相変わらずの濃いセットリストとトークには満足した演奏会でした。
次回NJBP Live! #7が2017年2月25日に開催予定とのこと。
曲目はまだ未定ですが、曲目次第ではまた行ってみたいです。
これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。
9日のセットリストは以下の通りです。
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※<>内は演奏形式
[第一部]
1-01. 半熟英雄 <管弦楽>
フィールド1-02. ファイナルファンタジーIV <ピアノ連弾>
街のテーマ/トロイア国/ダンジョン/幻獣の街1-03. 魔界塔士Sa・Ga <管弦楽>
プロローグ/Hurry Up!/激闘/涙を拭いて1-04. ナナシ ノ ゲエム <管弦楽>
ナナシ ノ テエマ[オーケストラ]1-05. ライブ・ア・ライブ <木管+弦楽合奏>
密命/忍音/殺陣!1-06. ライブ・ア・ライブより「GO!GO!ブリキ大王!!」 <ボーカル付き>
[第二部]
光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝より
2-01. 光の4戦士 メインテーマ <管弦楽>
2-02. 芸術の都リベルテ ~ 商業都市ウルベス <木管+弦楽合奏>
2-03. 伝説の鯨 ~ ドラゴンに乗って <管弦楽>
FINAL FANTASY LEGENDS 時空ノ水晶より
2-04. 時の狭間 ~ 現代 -The Departure <木管+弦楽合奏+ピアノ連弾>
2-05. 今を生き延びて ~ 立ち塞がる脅威 <管弦楽>
2-06. 遥か時を超え… <フルート+ヴァイオリン+ピアノ>
[アンコール]
E-01. FINAL FANTASY LEGENDS 時空ノ水晶より「FINAL FANTASY LEGENDS」 <管弦楽>
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これより下は、曲ごとの感想になります。
1-02. ファイナルファンタジーIV10月に入ってピアノソロの演奏会が続いていたけれど、そういえば連弾はなかったような。
同じピアノソロでも、連弾にすると表現の幅が一気に広がるなぁ、と感じました。
低音から高音まで、いくつもの音を散りばめた豪華な演奏。
双子のピアニストだから、というわけでもないでしょうが、息ぴったりでとても綺麗な演奏でした。
1-03. 魔界塔士Sa・Gaメドレーの内訳からすると、10階の空中世界のイメージでしょうか。
だとすると、最後の最後が「プロローグ」に繋がる箇所は、少々蛇足な気がしました。
「涙を拭いて」で上手く閉められなかったのでしょうか。
個人的には、今回演奏された曲の編曲はいずれも、過去にシュデンゲン室内管弦楽団が「魔界塔士Sa・Ga」の全曲演奏を行った時の方が好みでした。
演奏も、シュデンゲンの方が好きかも。
「Hurry Up!」に「激闘」と、テンポが速く音もピロピロしている曲が続いて、演奏がたいへんそうでした。
GBのサガ三部作はピロピロしている曲が多いけれど、その中でも特にピロピロしている曲が続いたので、さすがに辛かったのでしょうか。
その後の「涙を拭いて」は情感たっぷりな演奏でした。
1-04. ナナシ ノ ゲエムハッピーエンド時に聴ける曲で、ゲーム内ゲームである「呪いのゲーム」のBGMのオーケストラバージョン、だそうです。
「ナナシ ノ ゲエム」は、操作感に慣れなくて廃病院からの脱出がどうやっても間に合わなくて投げたゲームです。
そのため、途中までならプレイしたことがあります。
「呪いのゲーム」のBGMも当然何度か聴いていたので、オーケストラバージョンは聴いたことがないけれど、主旋律はなんとなく聴き覚えがありました。
元が元なので旋律に不穏さが残っているものの、オーケストラになると豪華というか派手というか。
多少、呪いが緩和されたように感じました。
徐々に盛り上がっていく流れは、結構好みです。原曲が気になりました。
1-05. ライブ・ア・ライブ幕末編をイメージしたメドレー。
ピッコロが良い感じに和風感を醸し出していて、とても良かったです。
ピッコロって、あんな和風な音色も出せるんだなぁ。音階によるところもあるのかな。
1-06. ライブ・ア・ライブより「GO!GO!ブリキ大王!!」シークレット曲。
オーケストラをバックに、ゲストの時田貴司氏と司会の市原雄亮氏が熱唱。
LALの復刻版発売以降、確かにLALで時田氏と言えばこの曲だけど、まさか生でやるとは思っていませんでした。
サービス精神旺盛過ぎます時田氏。
2-03. 光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝より「伝説の鯨 ~ ドラゴンに乗って」2曲とも伸び伸びとした雄大な曲でした
「伝説の鯨」は、確かに海っぽい感じでした。DQの航海中の曲っぽいというか。
「ドラゴンに乗って」も「伝説の鯨」と似たような曲調になっていました。
原曲の「ドラゴンに乗って」はほんのり物悲しさのある曲でしたが、今回の編曲では「伝説の鯨」に寄せたような、そんな感じ。
2-05. FINAL FANTASY LEGENDS 時空ノ水晶より「今を生き延びて ~ 立ち塞がる脅威」予習せずに演奏会に行ったため、演奏会の場で初めて曲を聴きましたが、正統派の戦闘曲という感じで普通に格好良かったです。
トーク内で「元はエレキギターが鳴り響く激しい曲」と聞いて、帰宅後にYouTubeで無料配信されている原曲を聴きましたが、原曲も格好良い曲でした。
もっと評価されて良いBGMというか、スマホゲームでなければもっと評価されていたかもしれないBGMだと思いました。
# スマホゲームは音をミュートにしてプレイしている人が多いのではないかと思うので。
自分も、今回の演奏会に足を運ばなければ、このゲームの曲に出会うことはなかったかもしれません。
そういう意味では、レアな機会を与えてくれた今回の演奏会には感謝したいです。
2-06. FINAL FANTASY LEGENDS 時空ノ水晶より「遥か時を超え…」3つの楽器によるアンサンブルというシンプルな編成ながらも、しっかりとしっとりとした演奏でした。
ヴァイオリンの演奏が情熱的で素晴らしかったです。聴き惚れました。
E-01. FINAL FANTASY LEGENDS 時空ノ水晶より「FINAL FANTASY LEGENDS」FFのメインテーマのFFレジェンズ版。
原曲と大きく異なる部分は、イントロとしてオリジナルのファンファーレが入っているところぐらいでしょうか。
メインテーマのAメロは1ループ(2ループしない)、Bメロは7以降仕様。
Aメロが1ループのみというだけでも、ちょっといつもの曲と雰囲気が異なって聴こえました。
でも、やはりこの曲はオーラスに相応しいと思いました。